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駄文置き場のブログ 2nd season

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拍手小話 本編 9話

Category - 拍手小話
「牧野さん!牧野さん!知ってる!?うちの会社の前に超イケメンがいるんだって!」
「ねえ!見に行こう!誰かのこと待ってるのかなぁ〜?きっと彼氏だよね!?」
「いやいや…分かんないよ〜?飲みに行く男友達待ってるかもしれないじゃん!」
「花束持って!?ないでしょ!」
「花束っ!?キャー!!!何それ!早く行こう!ほら、牧野さんも早くっ!」

まさか…まさか、だよね。
そう思うものの、聞けば聞くほど予感は確信にーーー。
いい年した同僚がここまで興奮するほどのいい男を、残念ながらつくしは4人ほど知っている。

そして、4人の中の1人が最近友人から恋人になり、その彼が今日迎えに行くと言っていたのだ。
つくしは会社から離れた目立たないところでと切実に頼んだはずだが、車で来ているだろうし停めるところも限られている。
しかも、彼に目立つな…という方が無理であることもよく分かっている。
本人に目立つつもりはさらさらなくても、周りが、彼の美貌がそれを許してはくれない。

ビルの外に同僚たちと共に出ると、会社の目の前ではないものの2、3メートル離れた場所で車にもたれかかり大量のチューリップの花束を抱えた男が1人、つくしに気付いて笑いかけた。
見慣れているはずの薄茶色の髪が夕日に照らされてキラキラと光る。
無表情でいると冷たく近寄りがたい雰囲気の男だが、柔らかく目を細めて微笑む顔は思わず息を呑むほど美しく、まるで精巧に作られた人形のようだ。
そしてそんな人間離れした美貌を持つ類の笑顔は破壊力が凄まじく、つくしですら頬を染めて立ち竦んでしまう程なのだから、興奮した様子の同僚たちの悲鳴が止まらないのは言うまでもない。

「こっ、こっ、こっ…」
「こっち来るっ!?」
「いやーーーっ!誰なのよ〜!」

類がつくしを見つめ、つくしもまた類と目を合わせた。
途端に世界に2人きりであるように彼のことしか見えなくなる。
キョロキョロと互いに牽制し合う同僚たちが騒ぐ声もどこか遠くに聞こえる。

そして、類の唇の動きだけがスローモーションのように音となりつくしの耳へ届いた。

「牧野…」

次の瞬間、つくしはその場から走り出した。

「類っ…!」



執筆:オダワラアキ様
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