拍手小話

拍手小話 最終話 やこ様Ver. 後編

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真相を知った俺は西田を呼びだした。


「おい、なかなかいい仕事してくれたじゃねぇかよ」


正直、100パーセント俺様の力で牧野を手に入れたわけではないのは気に入らない。

だが結果的に牧野は俺の手中にある。


「いえ、これも司様と道明寺グループのためにしたことでございます」


表情一つ変えずに答える西田に苦笑い。


「まあいい。ご苦労だったな」

「いえ。ところで司様…」


珍しく西田が言いにくそうにしているのが気になった。


「なんだよ」

「先日の介護用品についてですが…」


俺はコーヒーを勢いよく吹き出した。


「お、おまっ…」

「どうされますか?正式にわが社で販売を開始いたしましょうか?」



―スケベ椅子―



アレを西田は「介護用品」だと言って牧野の元へ送りつけた。

どう考えてもアレは「快楽商品」だ。

道明寺グループに「大人のオモチャ部門」などなかったはずだ。


「おい西田」

「ハイ、なんでございましょう?」

「その…なんだ…えっと…」


俺様がしどろもどろしていると


「スケベ椅子が何か?」

「…いや…いい…」


するとこれまでポーカーフェイスを崩さなかった西田の口角が上がり


「運転手より、司様がお気に召されたご様子だと報告を受けまして…」


西田よ、その先の言葉が恐ろしい…。



「先ほど牧野様のお宅に、新たな商品を送らせていただきました」


「!!」


わ…我が秘書ながらなんて優秀なんだ、このオトコ。


「そ…そうか。ご苦労だったな」

「ご覧になりますか?」

「!!!」


西田はシワひとつないスーツの内ポケットからスマートフォンを取り出し、どこかへ電話している。


「司様、お車の手配が済みました」

「午後は何か予定があったか?」

「書類の決裁さえ完了していただけば、午後は『商品の試運転』のみでよろしいかと」


し…試運転だと!?

この男、今度は牧野に何を送りつけやがった!


「そうか、わかった。く、車の用意ができたら声をかけてくれ」

「かしこまりました」


それからというもの、(目にも止まらぬ速さで)鬼のようにある書類の山を片付け車に乗り込んだのは言うまでもない。


待ってろよ牧野。

西田が送りつけた(ナイスな)商品は、俺が責任を持って処分してやるからな。

一応…試運転はするが…。



fin



執筆:やこ様
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