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駄文置き場のブログ 2nd season

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専務秘書 田村の日常 番外編 『はじめてのオファー』

Category - 捧げもの
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こちらは正確に言うと『捧げもの』ではございません。
ゆるーく、どうぞ……







花沢物産秘書、田村は困っていた。
担当の専務取締役、花沢類の仕事が捗らない。
本来の類であれは、小一時間で片付く仕事内容。
間もなく昼の時間になるというのに、半分も終わらない。
何やら考え込み、ため息をついているようだ。

常々「俺は仕事人間にはならない」と言っている類。
24時間365日働くことの多い役員の中、「最低限の権利の確保」と言われている為、原則的に週1回の休みは確保するよう、予定を組んでいる。
おまけに昨日は
「どうしても定時、譲っても19時までには仕事を終わらせるから」
と言いい、実際にその通りにした。
理由は最近、長年の思いが通じた1年下の後輩、牧野つくしとのデートの為。

だが、目の前の類には、そんな楽しい余韻は、ちらりとも見られない。
…おかしい…?
このままでは、明日になっても今日のノルマは終わらないと悟り、尋ねようとしたところで、類の口が開く。

「田村…」
「はい」
「明日咲く花」
「…? は?」
「明日咲く花。田村は知っている?」
「…明日咲く花…ですか…?
…はい、それは勿論…」

『明日咲く花』といえば、『花より男子』二次サイトの中でも有名大人気サイトのひとつ。
普段は堅いビジネス書籍ばかり読む田村だが、実は朝、スマートフォンでこのサイトのお話を読むのが密かな楽しみだったりする。

しかし、それが一体…?
どうしたんだろう? と、考えていた田村だが、ハタと気付く。

-まさか…。否、そんな筈はない。だってあれは…。
内心焦り出す田村の前で、類が恒例の如くぽつりと呟く。

「…狡い」
「…は?」
「…俺は言われていない…」
「…それは…一体何を…でしょうか…?」
「田村。『明日咲く花』のサイトマスターさんに、『出て欲しいなぁ…』って言われたんでしょ?」
「え! あの…その…それはその…」

-まずいまずい。一体何で知っているんだ!? 
あれは、asuhana様と私しか知らなかった筈…?
内心ワタワタする田村を余所に、類が爆弾発言をする。

「じゃあ、俺、ここのサイトを辞める。『明日咲く花』のサイトに行く」
「は…はぁ!?」
「五月蠅いよ、田村」

田村がまたも素っ頓狂な声を上げる。
こう見えても田村は、類の次に来る言葉に対し、心づもりをしているのだ。
なのに、類の言い出すことは毎度毎度、それを上回る程突拍子もなく、その都度驚かされている。

とにかく気を落ち着け、よくよく話を聞いてみるとこういう事だった。

asuhana様より『SS100 ~Colorful Story~』のお手伝いをして欲しいと言われた、何処ぞの呆け管理人。
その際にリクエストを受けたのは『田村シリーズ』
それはこそっと、田村の耳にも入り、内心期待していた。
『明日咲く花』に行ければ、この超・我儘・マイペース専務から脱却出来るかもしれない…!
否、出来る!!
何故なら、asuhana様だったら、専務が満足するラブラブを書いてくれるに違いないから!!!
ここのように、フラストレーションが溜まることはないだろう!!!!
そして何気に、私の事も格好良く書いて下さるに違いない!!!!!
そんな思いを胸に秘めながら、その日が来るのを楽しみにしていたのだ。

なのに、何故かそのことを目の前の類に知られ、挙げ句、類も『明日咲く花』に行くというのだ。

「…まさかとは思いますが、本気で仰っておりますか…?」
「うん。そう。で、牧野と一緒に『明日咲く花』に行って、あーんなことや、こーんなことを書いて貰う」

まるで『既に決定事項』とでも言いたげな類の口調。
田村がひとつため息をつく。
賞与も、出張も、お歳暮も、お年玉も、義理チョコも、8時ちょうどのあずさ2号も、OJTも、宝くじも、社員旅行も譲歩したのだ。
類を甘やかしてばかりもいられない。

「類様。
お言葉ですが、その性格の類様がasuhana様の処に行かれても、大変ご迷惑かと思います」

そう。これは誰でも判る常識。
ブラックを通り越して破壊された類で、超人気サイトの評判を落とすわけにはいかない。
だが、百戦錬磨の類も負けてはいない。

「ヤダ。
ここに居たら俺、記憶操作させたり、腕切られたり、腹刺されたり、銃で撃たれたり…。
命が幾つあっても足りない」
「…このコーナーの類様でしたら、腹刺されても銃で撃たれても、絶対死なないと思いますが…」

ま、そりゃそうだ。
これだけ性格が破壊され、常識が通用しない類であれば、刺されたくらいだったら軽く『ザオリク』でも『レイズ』でも唱えて復活して来るだろう。

「…お前…何気に凄いこと言うね…。俺、一応上司なんだけど…?」
「はっ!! …あ…あの…。それは…。
普段常々思っていることが口に…ごにょごにょ…」
「……なんかつくしに似ている。
………まさか田村、陰でつくしと会っているんじゃないだろうね…」
「…は…はぁ!?」

それは、類に逢いに来たつくしと顔を会わせたことは何度もある。
「いつもお世話になっております」と挨拶をし、手土産を貰うこともしばしば。
きっと結婚をしたら、いいお嫁さんになるだろうなぁ…、と考えた事は、一度や二度ではない。
が、陰でこそこそ、つくしと会ったことはない。断じて。
幾ら田村でも、否、類を知っている田村だからこそ判る、類の嫉妬心。
類付きの秘書になり、世間では『命知らず』と言われているが、そこまで命知らずではない。

あらぬ疑いを掛けられ、蒼白する田村に対し、類は『どんなRものにして貰おうかな~』等と楽しげに呟く。
山積みにされた書類にサインをする様子は、微塵もない。

…このままでは今日の仕事は愚か、本当に『明日咲く花』にお邪魔しかねない。
田村が大きく…本当に大きく、ため息をつく。
これも、花沢物産の将来と、asuhana様のサイトを汚さぬためだ。


「それでしたら…私は『明日咲く花』への出演を見送らせて頂きます…。
代わりにasuhana様には、専務と牧野様とのお話を沢山書いて下さるよう、お願い致しておきます。
asuhana様はご多忙ですので、お時間が掛かるかもしれませんが…宜しいですか?」
「ん。いいよ」

それはいいに決まっているだろう。
類にとって大切なのはつくしとイチャイチャできることであって、田村が何処に出るか出ないかは関係ないのだから。

「………畏まりました。asuhana様にお伝え致します」

田村の返事に、途端に書類に目を通しサインをし始める。
恐らくは今日、つくしにこのことを告げるため、定時までにすべての仕事を終わらせるつもりなのだろう。
邪魔にならないよう一礼し、部屋を後にする。


ドアをぱたんと閉めたところで、田村は再び大きくため息をついた。

先ずはasuhana様に連絡をしなければならない。
素敵なイチャイチャを書いて下さる事は間違いないのだが、問題はその相手。
何せasuhana様は『つくし』贔屓なのであって『類つく』専門ではないのだから。
なるべく、そう本当にできる限り多く、『類つく』を書いて頂きたい。


潜在能力は無限大の類。
なのに、それはつくしの為にしか発揮しない。



この『日常』から脱却するチャンスは奪われてしまった。
慣れているものの…苦労が減る処か増すばかり。
田村の脳裏に、『がんばりましょう』の曲がリフレインする。

♪仕事だから とりあえずがんばりましょう

-とりあえずって…。…あとどのくらい頑張ればいいんだ…?

がっくり肩を落とし、調整のため急ぐ田村であった。





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はい、一体何が何だか…? かと思いますが…。
実はasuhana様の企画『SS100 ~Colorful Story~』
「書いて-」と言われたときに「田村シリーズがいいな」とリクエストを受けました。
が、思いついたのはこんな感じの内容…。
なんかピリッとしないし、大体がこれを献上するっていうのもねぇ…。
と、考え、『田村シリーズ』はボツになりました。

ですが、私の言い訳ページならいいかな…?
丁度2ndにUPする話がないし…と、ゲリラでUPしてみました。
このお話に関して、asuhana様からの許可は一切頂いておりません。

なお、asuhana様に献上したお話は こちら となります。
これに関してちょっとだけ言い訳を…。

お話の元ネタは、司馬遼太郎先生の『坂の上の雲』
原作は読んだことがなく…ドラマで見ただけだったりします…(^^;)
ドラマの中ではダンスではなく『荒城の月』を弾いていた…と思います。
(かなり前なので、あやふやですみません…)
モデルにした広瀬武夫も演じた藤本隆宏さんもごっつい方なのですが、
生涯独身で、女性の影はアリアズナだけ、というところが類っぽい…と思った次第です。
結局、どちらにしても問題だらけのお話でした。(^^;)

こちらでのUPは、年内これが最後となります。
年内途中から始めた2ndですが、予想以上に沢山の方にお越し頂きました。
本年もお付き合い下さり、ありがとうございました。
来年もこちらは、マイナー中のマイナー路線を走りますが、引き続きお付き合い下さると嬉しいです。
1st共々、宜しくお願い致します。

どうぞ、よいお年をお迎えくださいませ…<(_ _)>


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4 Comments

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2016/12/31 (Sat) 07:52 | REPLY |   

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2016/12/31 (Sat) 14:08 | REPLY |   

星香  

鍵コメ『asu』様

ご訪問&コメント、ありがとうございます♪
このたびは駄文がお邪魔致しました。<(_ _)>

「ううう…好きと言って頂けて…
この田村、感無量でございます…」
と、言っていましたよ(^^)

こちらこそ、お世話になり、ありがとうございました。
来年も宜しくお願い致します。
良いお年をお迎え下さいませ…<(_ _)>

2016/12/31 (Sat) 19:47 | REPLY |   

星香  

鍵コメ『凪』様

ご訪問&コメント、ありがとうございます♪
はっはははー
私の場合、『主役』と書いて『受難者』と読む、
ですからねぇ…(^^;)
類はいろんな目にあっております。
このシリーズの主役は勿論『田村さん』なので…(^^;)
↑ちなみに『田村さん』はコミック37巻番外編
『俺の話をしようか』の最初に出てきます。普通の小父さんです(^^;)

うふ、オープンコメントありがとうございます。
本当に今年は私にとっても変革と出会いの1年でした。
『師匠』と呼ばれるにはほど遠い、常識知らずなのですが…(^^;)
お仲間として、これからも宜しくお願い致します。<(_ _)>

本年も残り僅かとなりました。
どうぞ良いお年をお迎え下さいませ…<(_ _)>

2016/12/31 (Sat) 19:54 | REPLY |   

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