Welcome to my blog

駄文置き場のブログ 2nd season

Article page

Le père Noël 第4夜 -蜜柑一房-

Category - 【2016 Noël】
4_mikan.jpg


第4夜
あの事故の日からちょうど一年……
今日は「恋人として」櫂と過ごす初めてのクリスマス・イブの夜。

事故で記憶を失ってしまった莉緒は、恋人である櫂と過ごした日々をすっかり忘れてしまっていた。
時々、フラッシュバックのように断片的な記憶が蘇ることがあったが、どの記憶も不思議と櫂には結びつかず、櫂と恋人同士だったことに違和感を感じていた。

櫂は、そんな莉緒の複雑な気持ちに気づいていたのだろうか、莉緒を見つめる瞳は隠しきれないほど劣情を孕んでいるというのに、見つめるだけで一切触れようとしてこなかった。

その誠実な姿に、日を追うごとに莉緒の心は責め立てられ、大切にしてくれる恋人がそばにいるというのに、何も思い出せない自分に罪悪感ばかりが募っていった。

悪戯に時間ばかりが過ぎていく事に後ろめたさを感じ始めた莉緒は、

「クリスマスプレゼントに、何か欲しいものはありますか?…た、大したものはあげられませんが……っ」

せめてクリスマスプレゼントくらいはと、深く考えもせず尋ねた言葉に、櫂の育ちの良さ故に嘘のつけない頬に朱がさした。

「莉緒に触れたい……」
「…えっ!」

熱に浮かされた様な表情で絞り出された思いもしない要望に、莉緒は大きく目を見開いた。

「あ……っ、ごめん。今の忘れて下さい。君と一緒に過ごせるだけで嬉しいよ」

赤くなった顔を隠すように大きな掌で覆い、逃げるように背を向けた櫂を見過ごせず、咄嗟に袖を捕まえてしまった時、莉緒は覚悟を決めざるを得なかった。

「……いいよ」
「えっ?」
「あの……あたし…かまわない…から」

言った側から、後悔の気持ちが込み上げてきたけれど、もうどうしようもない。

記憶のない莉緒に無理はさせたくないと、何も言わずに我慢をしてくれる優しい彼を、莉緒はこれ以上拒み続けることはできなかったのだ。

「莉緒……ありがとう」

心底嬉しそうに微笑んだ櫂の表情は美しく、子供の頃に読んだ何かの絵本の中に出てくる王子様のように、非現実的だった。



ミストの揺らめきと光の反射により、精巧に作られた薪の上で、偽物とは思えない程リアルな炎が風ひとつない部屋で揺らぐのを、莉緒はジッと眺めていた。

ともすれば、パチパチと薪が爆ぜる音まで聞こえてきそうなほどに精巧なその暖炉は、揺れる火は疎か、薪ですら偽物だというのに、不思議なほど薄暗い室内にしっくりと馴染み、本物さながらの存在感と暖かさを放っていた。

「これが偽物だなんて言われなきゃわからないなぁ……」

莉緒がぽつりと呟いた時、遠くで聞こえていたシャワーの水音がピタリと止まり、ぎくりと大きく身体が強張った。

……もう逃げられない。

莉緒はバスローブの合わせを掻き寄せ、ドクドクと煩く鳴る心臓をぎゅっと抑えてその時を待った。



櫂が慌ただしくシャワーを浴び、バスローブを羽織って部屋に戻ると、牧野つくし…いや、星野莉緒は震えるように身を竦めながら暖炉の火を眺めていた。

「待たせてごめん。身体冷えちゃったかな?こっちへおいで」
「…えっ、ま、待って」

櫂は、青ざめた表情でバスローブを掻き合わせる莉緒の細い肩に手をかけ、シャワーで火照った自身の体温を分け与えるように引き寄せた。

莉緒の身体は不自然なほどギクシャクと強張り、その緊張をバスローブ越しに櫂に伝えてきた。

「寒い?」
「あ……っ平気……」

恥ずかしそうに身を捩り、櫂の腕から逃れようとする莉緒の初心な仕草に櫂の中の欲望が首をもたげるのを感じた。

普段は色気の欠片も感じさせない女だと思っていたけれど、こういう場面で思いもよらぬフェロモンを出すって訳か。

平凡な容姿の女が、道明寺と花沢という容姿も財力もある完璧な男の心を虜にした理由の一端がわかった気がした。

寝る前からこんな調子なのだから、ベッドの中ではどれだけすごいのだろうか…

浮かんできた痴態に内心舌舐めずりし、コクリと唾を飲み込んだ。

このまま床に組み敷いてしまいたい衝動を抑え、羊の皮を被りなおして安心させるように微笑む。

「こんなに震えてるのに……大丈夫なわけないだろ?向こうの部屋の方が暖かいよ。行こうか?」
「……きゃっ!」

莉緒の返事も待たず膝裏に腕を通して抱き上げると、リビングを大股で横切り、寝室のドアを開いた。

部屋に入るとすぐ甘ったるい花の香りが鼻をついた。

照明を落とした寝室は、あらかじめ準備させておいたアロマキャンドルがバランス良く配置され、柔らかな灯りに彩られたベッドは、新婚初夜のようにロマンチックな雰囲気だった。

キングサイズのベッドの真ん中に、カチコチと音がしそうなほど固まった莉緒の身体をそっと横たえ、なだめるように髪を梳きながら、今すぐにでも襲いかかってしまいたい衝動を抑え、櫂はその表情を見下ろした。

恥ずかしがって赤くなっているだろうなという甘い期待を裏切り、櫂の下に横たわる莉緒は真っ青に青ざめ、怯えたように瞳を閉じて身体を強張らせていた。

その表情を見た途端に、グラグラと欲望で煮えた頭がスッと冷め、微かに苛立ちを感じた。

莉緒の手首をベッドに縫い止め、舐めるように視線を這わせると、莉緒はますます怯えたようにカタカタと身体を震わせて逃れようとした。

「イ、 イヤッ……!」

そのあからさまな拒絶に、苛立つ気持ちを抑えられず、強引に耳元に口づけ、低く囁く。

「…莉緒もこれが好きだろう?そんなに怖がらなくても、すぐに気持ち良くしてあげるから大人しくして」

自らの高ぶりの源を莉緒の腰に押し付けながら、両手を頭上に纏め上げると、自由になった手でバスローブの上から華奢なラインをゆっくりと擦る。

「お、お願い……っ、やだ……!やだ……っ!」

莉緒は恐怖に表情を強張らせ、ポロポロと涙を流し必死の形相で首を振る。

「大丈夫だから…」と抗議の声をキスで塞ぎ、恐怖で凍りついた舌を根元から吸い上げ口中に愛撫を施す。

「…んっ、んっ、……ふっ……あぁ……っ」

両手の自由を奪われ、噛み付くようなキスに完全に竦み上がった莉緒の口腔内を喉元まで犯すと、さすがに鼻先からくぐもった声が漏れ、その声が櫂の理性をますます奪っていく。

首筋に吸い付き、きつく結ばれたバスローブの紐に手を掛けようとしたその時……

「る、類……類……!た、たすけ……て……たすけ…てっ!」
「え……っ!?」

頭上から聞こえた、歯の根も合わないほどの震声の呟きに櫂の指の動きが凍りついた。



莉緒の口から漏れ出た名前の効力に、櫂の欲望の炎は見事に鎮火してしまった。

記憶が戻ったのだろうか……?

ベッドに項垂れたように座る莉緒…いや、牧野つくしにミネラルウォーターを注いだグラスを手渡しながら表情を探る。

「大丈夫?」
「う、うん……ごめんなさい……あたし」
「いいよ、俺も少し乱暴だったから。それよりさ……」

櫂は一瞬ためらった後、思い切ってそのことに言及する。

「さっき誰か知らない男の名前を口走っていたようだったけど……」

すると、牧野つくしはビクリと気まずそうに表情を強張らせ、黙りこくってしまった。

無言の空気に、やはり全てを思い出したのだろうかと、不安がもたげてくる。

「あ……っ、や、やっぱりそうなんだ……ごめん、実は……」
「ご、ごめんなさい!!あ、あたし……!」

櫂は意を決して、今までのことを謝罪しようと口を開こうとした時、牧野つくしが慌てたように声を被せてきた。

「ごめん、被ってしまったね。どうぞ、先に話していいよ」

どうせ同じ内容の話ならばと、彼女の話の先を促す。

「…あたし、如何してかわからないけど怖くて……。あんな時に男の人の名前なんて口にして……ありえないよね。類…なんて人、見たことも聞いたこともないのに……。本当にどうかしてたんだと思う。本当にごめんなさい!」

そう言う牧野つくしの口調は、たどたどしくはあるけれど、誤魔化している風ではなく、櫂は密かに安堵した。

——けれど、

迂闊に彼女の身体に手は出さないほうがいいかもしれない……と内心ため息を吐いた。





Rendez-vous demain...


↓おまけつきです♪
web拍手 by FC2
関連記事

Category - 【2016 Noël】

14 Comments

asuhana  

みかんさま

うぉぉーー
ちょっぴり期待しちゃった
いや、類つく 類つく。期待してる場合じゃなかった。
西園寺めぇーーだった。
莉緒の中の牧野つくしの覚醒が素敵♡
魂の中での類への思い♪
くぅーーー痺れますなぁー
ドキドキをご馳走さまですぅ

2016/12/23 (Fri) 00:45 | REPLY |   

キム  

良かった😂

みかん様🎶
今晩は🌃🎵
お話しをよんでいてつくしちゃんの操(古っ(^_^;)が…
ドキドキしながら読んでました😱
でも、記憶はなくてもやっぱり類君の名前を呼ぶ辺り、二人の絆の深さを感じました💕
でも、類君はいつになったらつくしちゃんの手掛かりを見つけるのでしょうか?
忙しい年末に素敵なリレーコラボ有難う😆💕✨ございます😉
明日は誰のお話しか楽しみにしています😁

2016/12/23 (Fri) 01:55 | REPLY |   

さとぴょん  

みかん様
お話ありがとうございました。( ̄▽ ̄)♡
大変ドキドキしたでおじゃる。
プレゼント何が欲しい?と尋ねるつくしに
「莉緒に触れたい・・・」と頬を赤くして答えた櫂
可愛いじゃん・・・と思ってしまった私をお許しください。
「いいよ・・・」とつくしが言ったので、
終わったな・・・と思いましたが
『瓢箪から駒』ではなくまさかの
『口から助けて類』(◎_◎;)に驚かされました。
櫂・・・鎮火、納得。
記憶はなくても、身体の細胞が覚えているんですかね。
しかし、ビー玉の瞳に続き、類という名前まで出たのに
まだ思い出せないつくし。
櫂はもう手は出さないようですし、(^^;)
この先つくしの記憶は何がきっかけで戻るんでしょうか?
楽しみです。
『ママがサンタにキスをした』
可愛かったですね。
サンタとつくしママのキス・・・
子どもにとっては確かにクールかも(笑)
ああ類サンタ♡
夢でいいから出てきてほしい( *´艸`)♡
ドキドキ&可愛いお話♡
ありがとうございました。m(__)m

2016/12/23 (Fri) 02:55 | REPLY |   

kyoro  

おはようございます。
みかんさん、つくしちゃんの身体を守ってくれてありがとう。
危なかったよね、類君のこと早く思い出して欲しいですね。
このあとの西園寺の出方は、類君の事を思い出さないように行動するのだからたちが悪いよね。
後の作家の皆さん類君に早くつくしちゃんを返してあげて下さいね。
そしてつくしちゃんの手に類君の用意した指輪を嵌めてあげてね。
素敵なクリスマスプレゼントありがとうございました。
これからもよろしくお願いします。
拙い文面ですみません😿

2016/12/23 (Fri) 07:32 | REPLY |   

ノエノエ  

みかんちゃん
おはようございます。
クリスマスプレゼント作品の公開有難うございました(*^^*)
とても楽しみにしていました!
たとえそこに居なくても「ピンチの時の花沢類」!つくしちゃんの中にいる類くんがキッチリつくしちゃんを守ってくれましたね!二人の絆が素敵です(≧∇≦)類くん早く見つけてあげて~~~!
オマケのお話…可愛い!!「ぼくのママはかわいいから」なんて、リクくんは類くんに似てつくしちゃん大好きっ子ですね!
明日の更新も楽しみにしています(*^^*)

2016/12/23 (Fri) 09:23 | REPLY |   

凪子♪  

あっぶなぁーーー!!!Σ( ̄□ ̄;)笑笑
ドキドキしちゃった❤みかんちゃんっ❤笑
西園寺めーーですからっ!(ね?asuさんっ♪笑)(`ー´ゞ-☆
うんうん♪皆さん書いてるけど、『類』まで言ってて思い出さないつくしちゃんは、どのタイミングで思い出すのかしら❤そっちもドキドキです~(#^.^#)❤
そして、良い子にしてたら類サンタ来てくれないかな~(*´ω`*)❤笑
子どもじゃなく自分に!笑笑
可愛いおまけのお話も、ありがとうございますっ(*´ω`*)❤

2016/12/23 (Fri) 13:09 | REPLY |   

蜜柑一房  

asuさん
コメントありがとうございます(o^^o)
うふふっ、そうそうここは類つくですもんつくしちゃんの操は死守ですw
どこまで致すかすこ〜しだけ悩んだけど、バスローブの合わせもクローズのまま死守しました(少ししか悩まなかったのか!というツッコミはなしでw
西園寺めぇー!がいつの間にか合言葉になってて笑いました≧(´▽`)≦アハハハ
明日も楽しんでくださいね〜!

2016/12/23 (Fri) 22:19 | REPLY |   

蜜柑一房  

キムさん
こんばんは♬コメントありがとうございます(o^^o)
頑張ってつくしちゃんの操は死守しましたw
どこまで許すかみかんなりに悩んだのですが、せっかくのクリスマスストーリーですし、やっぱり綺麗なまま類くんにお返ししたいですからね(‐^▽^‐)
潜在意識の中で類くんを思い出しつつあるつくしちゃんですが、さすがにそろそろ・・でしょうか?
明日もお楽しみいただけたら嬉しいです♬

2016/12/23 (Fri) 22:23 | REPLY |   

蜜柑一房  

さとぴょんさん
こんばんは♬コメントありがとうございます(o^^o)
うふふっ、櫂くん意外と可愛らしいと思いきや、速攻羊の皮を脱いでしまいましたw
彼も若人ですからね・・その辺はまあって感じでしょうか💦
ドキドキしていただけてみかん的には大成功でした!ありがとうございます。
つくしちゃん、潜在意識では類くんを思い出し始めているのですが、バラバラのピースが未だはまっていない状態です。
どんなきっかけで思い出すのか、明日からの展開をお楽しみいただけたら嬉しいです(‐^▽^‐)
小話にも感想くださりありがとうございます!
リレー本編で、みかんの回は甘さが全くなかったので、
小話はクリスマスらしいほのぼのストーリーをと思って考えました。
類サンタ、夢ですよね〜〜(*^m^*)
楽しんでいただけて嬉しかったです!
素敵なクリスマスをお過ごしくださいね♬

2016/12/23 (Fri) 22:33 | REPLY |   

蜜柑一房  

kyoroさん
こんばんは♬コメントありがとうございます(o^^o)
はい!なんとかつくしちゃんの貞操は死守いたしましたw
正直どー書こうかなぁと悩むような描写もあったのですが、
つくしちゃんは怖がって泣いていますが、実は裸体も晒しておりません。
綺麗な体のまま類くんにお返しできて何よりです。
さて、つくしちゃんの記憶もそろそろ戻りそうな雰囲気ですね!
どんなきっかけで記憶が戻るのか、どうやって類くんと再会を果たすのか、
未だ謎は解けていませんが・・・
今日のお話は明日からの素敵なストーリーへの布石でございます。
この後もお楽しみいただけら嬉しいです(*^m^*)

2016/12/23 (Fri) 22:38 | REPLY |   

蜜柑一房  

ノエちゃん
こんばんは♬コメントありがとうございます(o^^o)
今日のお話は、どんな反応が来るかしら〜?なんて、実は怯えておりましたw
でも、皆様流石に懐が深い! 貞操を守ってくれてありがとうというお言葉にうれし涙です(T ^ T)
ピンチの時の花沢類。うん、まさにそれですね!
例え側にいなくても、つくしちゃんのピンチはやっぱり類くんが救ってくれる、本当に素敵な恋人の絆ですね〜。
未だ記憶は戻っておりませんが、集まり始めた記憶の欠片は何かのきっかけでピタリとハマるのかもしれません。
これからの展開もお楽しみいただけたらと思います(#^.^#)
小話…
リク君と類君でつくしママを取り合いしている絵を想像しながら描いたお話です。
本編が糖度ゼロだったので、小話くらいは可愛らしくしたかったので、喜んでいただけて嬉しかったです^^

2016/12/23 (Fri) 22:46 | REPLY |   

蜜柑一房  

凪子ちゃん
こんばんは♬コメントありがとうございます(o^^o)
おほほ〜
ギリギリのところでつくしちゃんの貞操は死守いたしましたw
せっかくのクリスマスだしね・・ミソがついたら切ないので頑張りましたよん。
つくしちゃん、潜在意識の中では類君の記憶が戻りつつあるのかもしれません。
バラバラに集めたピースがかちりとハマる瞬間に奇跡が起こります。
この先は、クリスマスに相応しい素敵なラブストーリーの始まりです。
楽しんでいただけたら嬉しいです♬
類君サンタいいよね〜〜
こんなにいい子にしてるのに、みかんのところには今年も類くんサンタは来てくれなそうです・・・(T ^ T)

2016/12/23 (Fri) 22:52 | REPLY |   

やこ  

ぬぬ
これは類つく類つく類つく類つく
こらみかん、ほかの男と舌を絡ませるとは何事じゃ。
仕方ない。おいらが類と舌を絡ませよう。
私、失敗しないので。

2016/12/24 (Sat) 01:23 | REPLY |   

蜜柑一房  

やこちゃん
やっほ〜!コメントありがとう(o^^o)
おほほっ、
どこまでやるかかなり悩んだんですが、キスはしたけど裸体オープンは死守しました(´0ノ`*)おほほ
こらこらっ!やこちゃんは司くんとキスしてなさいなw

2016/12/24 (Sat) 14:14 | REPLY |   

Post a comment