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駄文置き場のブログ 2nd season

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Le père Noël 第5夜 ① -りおりお-

Category - 【2016 Noël】
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第5夜 ①
「類様。 来週12月23日、フランクフルト経由羽田着のフライト便の手配が完了致しました」
「そう。 ありがと」

類の労いの言葉に、田村は深々と頭を下げる
そして、踵を返し執務室を後にした

類は、首をコキコキとならし、重厚な革張りの椅子から立ち上がり、窓辺へ向かう

フランス支社最上階に当たる執務室からは、パリの街並みが一望できる
その街並みの街路樹に電飾が灯されたのは、今月に入ってからだろうか?
キラキラと輝き、厳かな雰囲気を醸し出している

「あの日も……こんな感じだったよな」

ポツリと呟く言葉は、静かな室内に響き消えていった
そのキラキラしたイルミネーションを眼下に見下ろしながら、三年前のあの日を思い起こす


急な出張の帰りに電話をかけた
その時も、特段変わった様子は無かった

「7時ね。 平気だよ~。 二駅無いもん」

その声は明るく弾む様な声色で、俺と会える事をすごく楽しみにしている様子だった
それでも心配だった俺は、すぐにLINEも入れた

類は、胸ポケットにある携帯を取り出し、LINEを開く

『マジ、気を付けてよ』
『大丈夫です( ̄∧ ̄)』

俺からのメッセージに、すぐさま返信を送ってくれた
でも……

類は、その下の文字に目をやる

『どこ?』

その文字の横には、未だ既読の文字は付いていない
もちろん、そこから続く俺のメッセージのどこにも…

あんた…
どこに行ったのさ
ほんと、俺に心配かけさせるよね

類は、右ポケットへ手を入れ、小さな塊を取り出す
それは、あの日渡すはずだった指輪だ
その指輪に付けられた小さくクオリティの高い石は、今も褪せることなく光り輝いている


あの日、これを渡してプロポーズするつもりだった
そして一緒にフランスへ行こうと告げるつもりだった

驚くだろうか?
困惑するだろうか?
そう思う反面、自信もあった

きっとこの指輪を填めて、頬を染めながらコクンと頷いてくれると

だが、それを告げる前に、牧野は消息を絶った


その牧野が見つからぬまま、後ろ髪引かれる思いでフランスへ旅立った
でもやっと…
やっと日本へ帰れる

今度は、俺の手で必ず見つけて見せる
そろそろかくれんぼにも飽きて来た所だし…
俺の心もそろそろ限界

あんたも同じだろ?


キラキラ光る街路樹は、沈みそうになる類の気持ちを、少しだけ浮上させてくれる


そう言えば…
あれはどこだっただろうか?

二人仲良く見ていたテレビに、大きなクリスマスツリーが映し出され、牧野が感嘆の声を上げたのは…
期間中、毎日行われる点灯式
それ以上に、牧野の心を惹きつけたのは…
スープバー…

「ほらっ見て! スープバーがあるんだって。 とっても美味しそうだよ」
と目を輝かせて見ていた場所


類は、すぐさまデスクに戻り、パソコンで検索を始める
するとすぐにその場所が映し出された

≪ はこだてクリスマスファンタジー ≫

そこに設置されているツリーは…
『 幸せを呼ぶもみの木 』

類は、迷うことなく電話の内線を押す
「あっ田村! 悪いけど、羽田に到着後、直ぐに函館に行きたい」


***

莉緒は、相変わらず記憶が戻らないまま、今も櫂の所で御世話になっている

二年前のクリスマスイブの夜、恋人である櫂と身体の関係を持とうとした
記憶が無くても、恋人同士であればそういう事も自然な行為だし、ずっと支え続け優しく接してくれた

容姿もカッコ良く、洗練された振る舞いは、見惚れる程カッコ良く、自分には申し分ない相手
そんな櫂から「莉緒に触れたい…」と請われれば、嫌とは言えなかった

でも…
いざその時…

私の身体は、全身全霊で拒絶を示した
そして口から飛び出した言葉に、自分自身驚いた

「るっ類・・・類・・・!たったすけ・・・て」

その言葉に覚えはない
でもなぜか口を突いて出た

訳が分からない
しかも、目の前には恋人である櫂さんの困惑した顔がある
とにかく謝らなければ・・・と、すぐさま頭を下げて謝った

すると・・・
櫂さんからも謝罪の言葉があった

「怖がらせたかな? ごめんな」
「えっ?」

何で櫂さんが謝るのだろう?
私も了承のうえで、ここに居るのに・・・

「実はさ。 莉緒と付き合うようになったのは、記憶をなくす少し前からなんだ」

初めて知った事実に、ある意味納得する
時々フラッシュバックする断片的な記憶が、何故櫂さんと結びつかなかったのも頷けるから
そしてこの一年、見つめるだけで一切触れようとしなかった事も・・・

「本当は、記憶が戻ってから・・・ 身体の関係を持つべきだったんだよな。
自分としては分かっているつもりだったし、そうするつもりだったんだけど・・・
つい・・・クリスマスの雰囲気に負けて、有頂天になってさ。
しかも、莉緒が良いって言ってくれたから、かなり舞い上がって性急になってさ。
ほんとゴメン。 もう嫌がる事は二度としないからさ」
と、優しい笑みを向ける

もちろん櫂自身は、この場を取り繕う為の言い訳にすぎない
本当は自分の目の前で、どういった妖艶な姿を見せ、楽しませてくれるのか知りたかったに過ぎないのだから

でも・・・
完全に拒絶されたうえ、類と言う名前が出た事で、その辺は慎重に事を運ぶ必要があると感じた

そして莉緒の方も、他の男性の名前が出たというのに、咎める事無く自分一人が悪いと言う真摯な態度の櫂に、申し訳なく深く反省する
そして今まで断片的に見ていた記憶は、過去の男だったのでは?と良い様に思う事にした

「私の方こそすみません。 櫂さんをその気にさせながら・・・」
「もう良いから。 それより他に調子の悪い所は無い?」
と笑顔で優しく問う

もちろん内心はビクビクしているが、記憶がどの辺まで戻っているか確かめておきたい一心だ

「はい。何も変わりは無いです。 それより本当にすみません」
と、申し訳なさそうに頭を下げる
その姿に、櫂はホッと安堵する

「互いに謝ってばかりだな。 悪いのは俺の方なのにさ。
段取りをすっ飛ばし、事を急いだんだから。
でもこれからは、焦らず莉緒のペースに合わせるよ」
と、微笑みかける

その笑顔は、とても素敵な物なのだが、やはり莉緒の心に響かない
それでも今おつきあしているのは櫂で、こうして大切にしてくれていると思うと、莉緒の方も自然に笑顔になる

「ありがとう」

その笑顔に、櫂の心はドキンと大きく跳ね上がる
時々見せるこの笑顔・・・・
それに先程の初々しい仕種に、櫂の心は大きく傾いて行くのを止められなかった

その翌年のクリスマスイブは、ガーデンテラスから東京タワーを一望できる、お洒落なレストランで食事をした
去年のあの一件から、櫂は莉緒に対してそう言った事は、一度もしていない
何故なら櫂の心は、既に莉緒で占められ、莉緒の心を自分に向けさせたい思いに駆られている
そうすれば、万が一記憶が戻り、牧野つくしになったとしても、このまま付き合っていけるはずだし、事故の事も運命の出会いとして片づけられる・・・と思い始めていた
だからこそ、焦らず確実に心を手に入れようと思っていた

「すごく・・・きれい・・・」

莉緒は、レストランの窓から東京タワーをうっとりと見つめながら呟く
その瞳に、櫂は吸いこまれそうになる

「莉緒が気に入ってくれて良かった」
「うん・・・ありがとう」

「しかし、クリスマスプレゼントにディナーをチョイスされるとは思わなかったよ。
普通はディナーとプレゼントの両方だろ?」

確かにそうなのだろう・・・と、莉緒も思う
でもどうしても櫂から、品物を貰う気になれなかった
こんなに優しく大切にしてくれる彼氏なのに・・・
どうしても形に残る物は・・・

「ごめんね。 でもありがとう。 こんな素敵な所に連れて来てくれて」

その莉緒の言葉に、櫂は吹き出す

「ぷっ! まただ。 莉緒は良く言ううよな。 『ごめん』と『ありがとう』をさ」

その時、莉緒の頭がズキンと痛む
そしてフラッシュバックする

≪ あんたの『ごめん』と『ありがとう』は聞き飽きた ≫

まただ・・・
またこの声

莉緒が眉間に皺を寄せた事に、櫂は心配気な顔をする

「どうした? また頭痛?」

あっ・・・ダメダメ・・・
櫂さんに心配かけちゃ・・・

「大丈夫・・・ごめん。 また心配かけちゃったね」
と笑って誤魔化すが、何度も同じ声の男性が現れる事を、とても言えない莉緒だった

それと同時に、
どうして何時までも過去の男性が現れるのだろう?
どうして櫂さんの言葉や姿は、一度も現れないんだろう?
と不思議に思うのだった


そして・・・
三年目のクリスマスが近づいてきた





Prochain → Aujourd'hui 08:25


↓おまけつきです♪
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Category - 【2016 Noël】

10 Comments

キム  

お疲れ様です😌💓

りおりお様🎶
年末の忙しい時期にクリスマスプレゼント🎄🎅🎁✨のお話しを有難う😆💕✨ございます
それも二話とは嬉しい😃🎶です⤴
つくしちゃんが記憶を無くして、三年も経ったんですか〜
類君も日本に帰って来る様ですね🎵
これから本格的につくしちゃん探しが始まるんですよね?
早い類君と二人でクリスマスのイルミネーション🎄✨見れます様に🙏

2016/12/24 (Sat) 00:45 | REPLY |   

やこ  

思い出せ、思い出すんだつくし!!
なんという切ないお話なんでしょうか。
ここでりおさんが「勘違い」を持ちだしたらどうしようかと思ってましたわよ。(ホッ)
ここでりおさん登場ということは、アンカーはアキさんでしょうか?例のアレですかね?
ここからどうアレに持っていくんだ?
お待ちしています。

2016/12/24 (Sat) 01:28 | REPLY |   

kyoro  

りおりおさん、素敵なクリスマスプレゼントありがとうございます。
此方のお話しは、切ないので読んでいて辛くなります。
でも、3年目のクリスマスにはつくしちゃんの記憶が戻り類君の事を思い出すような気持ちでいます。
唯西園寺がどんな手段で二人の邪魔をしてくるのかが不安です。
後はアキさんよろしくお願いします。
西園寺の手からつくしちゃんを守り類君と幸せにしてくださいね。
拙い文面ですみません😿

2016/12/24 (Sat) 03:32 | REPLY |   

asuhana  

りおさま

西園寺めーーーー
と言いたいけど
つくしの魅力にノックアウトしちゃったのね。
ご愁傷さまだ。とちょっと同情。
まぁでも、最初の一歩を間違えたのは君だ。
じゃなかったら......
今頃フランスでムフフッであっふんな夜をつくしと類は送ってた筈
やっぱり
西園寺めーーー
(凪子ちゃん 一緒に叫ぼうぉーー)
長い長いかくれんぼ
聖なる夜に終わりを告げるかくれんぼ
ドキドキと明日の濃厚R←勝手に濃厚と決めつけ
を待ちまーす♪
♪ルイルイチームの皆さんに素敵なイブが訪れます様に♪
Merry Christmas

2016/12/24 (Sat) 07:48 | REPLY |   

凪子♪  

おおっ❤まさかの2話!♪ヽ(´▽`)/笑
嬉しいですっ❤
そしてりおさんのお話からは、やはりバンバンと『類愛』が伝わってくるわ~❤笑
そしておまけのお話に爆笑♪
管理人さんは誰なの??(//∇//)
後編も楽しみに伺いまーす❤❤

2016/12/24 (Sat) 08:43 | REPLY |   

りおりお  

キム様
コメント有難うございます
私が第五話を担当しました
心臓バクバクしております
でも、頑張りますよ~~
素敵なクリスマスにしたいですからね
是非是非、この後もお楽しみくださいね

2016/12/24 (Sat) 20:29 | REPLY |   

りおりお  

やこ様
お越し頂きありがとうございます
類つくと判っていながら読んで下さり、感謝感謝です
そして、クリスマスだと言うのに、切ないストーリーでしたよねぇ
そこでのバトンを受け取り、アンカーに渡す為頑張りましたよ
もちろん、ここでの勘違いシリーズ突入は無理でしょう…
この雰囲気…そのような勇気はございません
って事で、是非是非楽しんで下さいね

2016/12/24 (Sat) 20:32 | REPLY |   

りおりお  

kyoro様
コメント有難うございます
クリスマスなのに、切ないストーリーですみません
でも、ここから壮大なドラマが待っています(たぶんですが…)
西園寺櫂がどういう行動をとるのか、、
是非是非、その行方をお楽しみくださいね
頑張ります♪

2016/12/24 (Sat) 20:35 | REPLY |   

りおりお  

asuhana様
コメント有難うございます
「西園寺め~~~」には爆笑です(笑)
このセリフを聞かないと、物語が始まらないような気がしてきました
でも、、そろそろそれも終了になると思います
ルイルイチームは力を合わせて、ここから甘々ラブラブを目指しますから
是非お楽しみに

2016/12/24 (Sat) 20:37 | REPLY |   

りおりお  

凪子様
コメント有難うございます
本当は一話で終わらせる予定だったんですけど、それが出来なかったんです。
何とか類君とつくしちゃんを引き合わせたいんですよ
そんな重要なお話を担当し、冷や汗ものですが、何とか頑張りますので、この後も楽しんで下さいね
って事で、二話目に突入です

2016/12/24 (Sat) 20:40 | REPLY |   

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