Welcome to my blog

駄文置き場のブログ 2nd season

Article page

Le père Noël 第5夜 ③ -りおりお-

Category - 【2016 Noël】
5_riorio_3.jpg



第5夜 ③
ツリーが近づくにつれ、人の多さがより一層増す
それでも、少しでも近くでそのツリーを見ようと、類はその人混みをかいくぐる様に進んでいった

すると、突然ツリーの点灯がプツンと消える
それでも、周りのイルミネーションの光で、顔までは良く見えなくともぼんやりと人影は見える

次の点灯は、15分後・・・
その時、少しでも近くでツリーを見てやろう・・・
と、類の足は、真っ直ぐツリーの方へ向かった

ツリーは海に面し、三方を人が囲めるようになっている
類は、迷わずツリーの正面に立ち、その瞬間を待った

そして・・・
場内アナウンスと共に、カウントダウンが始まった

10、9、8・・・・・3、2、1

パッとツリーが点灯されると同時に、花火が夜空に大輪の花を咲かせた

ドド~ン、ド~ン

「すごっ」

類の口から、思わず感嘆の声が上がる
それ位見事な共演で、暫しの間、上を見上げ見惚れてしまう

すると、、頭上からチラチラと白い粉雪が舞い落り始めた

すごいな
花火とツリーと雪だなんてさ
この景色・・・牧野にも見せたかったな

そう思いながら、ゆっくり視線を下に降ろすと・・・
金縛りにあったように動けなくなった

後ろ姿ではあるが、真っ暗なストレートの髪、背格好も瓜二つの女性が、ほんの数メートル先に居る


まさか・・・
でも、見間違えるはずが無い
この三年もの間、探し続けていたのだから・・・

でも・・・
何故ここに?

類の心の中では、色々な感情が湧きあがる
それでもその女性から目が離せない
それ程、、よく似た女性だった



***

莉緒は、櫂に言われた通り、その場から動く事無く、ただ周りをキョロキョロと窺っていた
すると、再点灯をしらせる場内アナウンスが始まった

チラッとスープバーの方向に視線をやると、そこは列になっており、まだ時間がかかる事が分かる
そして、櫂が戻って来る前にカウントダウンが始まった

10、9、8・・・・・3、2、1

パッとツリーが光り輝くと同時に、夜空は明るい光に包まれた
途端、莉緒はツリーでは無く、横の花火に目を奪われる

ドド~ン、ド~ン

大きな音と共に、冬の夜空に大輪の花を咲かせる
そして、チラチラと白い雪が舞い降りてきた

「すごい・・・」

莉緒の口からは、本日何度目かの感嘆の声が漏れる
そうして、数発の花火を見た後、ゆっくりと視線をツリーに向けた



***

類は、目を見開く
横顔だが、そこにはずっと探し続けたいたつくしの姿がある

「ま・・・き・の・・・」

興奮だろうか?
寒さだろうか?
何故か思うように声が出ない

「まき・・の・・・」

胸がドキドキし、そのたった三文字すら声がかすれる

類は、一度大きく息を吸い込む
そして、思いの丈を吐きだすように叫ぶ

ドド~ン、ド~ン・・・ 「牧野!!」

類の精一杯の大声は、大輪の花火の音に掻き消された
それを示すように、先程までツリーに向けられていたつくしは、再び花火の方へ向けられる

類は、ゆっくり足を踏み出す

一歩・・・
また一歩・・・

もちろん視線は、ずっとつくしを捉えたままだ
いや、外せないと言った方が正しい

数歩歩いた所で、その足はだんだん速くなる
そして、その後ろ姿の女性を、スッポリと後ろから抱きしめた
緩く壊さないように・・・



***

突然、後ろから誰かに抱きしめられた
それは、櫂さんで無い事がすぐに分かる

えっ?
と、一瞬恐怖が走ったが、すぐさま懐かしい香りが鼻孔をくすぐる
先程香った、心地良い香り

この香り・・・
私の大好きな香りだ・・・

そして、この抱きしめ方も良く知っている
緩く、優しく・・・壊さないように・・・


すると、頭上から声が聞こえる
「ま・・・きの・・・・まき・・の・・」

牧野?
誰の事?
私は、星野莉緒で・・・


「会いたかった・・・ずっと・・ずっと・・」
その声は震え、たどたどしい

でも・・・この声は良く知っている
私の大好きな声だもの・・・

そして・・
何度も断片的に見た・・・あの映像・・・

あっ・・・


つくしの脳裏に、次々と映像が蘇ってくる
今までモヤがかかっていた部分も全て取り払われ、そこに愛しい人の顔が、はっきり映し出されている

「ごめん・・・急な出張が入って・・・」
と頭を下げる彼

その彼を困らせたくなくて、必死に平静を装いながら
「じゃあ・・来年行こう。 楽しみにしているから」
と答えたのは私

でもほんとは、かなりガッカリしてて・・
カレンダーに丸までつけるほど楽しみにしていて・・

でもそれよりも・・
クリスマスイブを一緒に過ごせるなら、それだけで十分と思える私が居て・・・

その相手はただ一人・・・

る・・・い・・?

あっ・・

思い出した・・
全部
全部思い出した!!



つくしは下を向いたまま、ゆっくり体を反転させる
そして、類の背中に腕を回す
すると、先程まで緩く抱きしめられていた手に、力が込められギュッと隙間なく抱きしめられる

「牧野・・・あんた・・・今までどこに?
俺・・・ずっと、、ずっと探してて」

そうだよね
かなり心配かけたよね?

ごめんね

でも今は・・・
私にも、類の温もりを感じさせて?

つくしも回した腕に力を入れる

「る・・・い・・・る・・い・・類・・類!」

つくしの声は、類の鳩尾に押し付けられ、くぐもった声になる
だが、確実に類の耳に届いた


胸が熱くなり、ずっと抱きしめていたい感情を押し留め、その腕をゆっくり外す

顔が見たい
俺の目に、、あんたのその顔を見せて?

それが伝わったのか、つくしがゆっくりと顔を上げはじめた
そこには、あの頃と何も変わらないつくしの顔がある


三年ぶりに重なる二人の視線
類は、変わらぬ漆黒の瞳に、つくしは変わらぬビー玉の瞳に捕らわれる

そして、、ゆっくりと類の顔が傾いた
つくしも、自然に目を閉じる


『 幸せを呼ぶモミの木 』の下で、二人の唇はしっかりと重なった




それを櫂は、少し離れた所で見ていた
両手には、湯気を立てた美味しそうなスープが二つ握られている

スープバーへ向かったのは良い物の、かなりの列で、購入し終えた時には、既にツリーのカウントダウンも終わり、花火が始まっていた
早く莉緒の元へ戻ろうと踵を返した時、それはまるで映画のワンシーンのように、目に飛び込んできた

あれは・・・花沢?
確か、フランスへ行っていたはず
それが、何でここに?

との疑問も浮かぶが、すぐさま納得する

あの二人は、元々惹きつけあう仲だったって事か
それを俺が間に入った所で、運命は変えられない…と言う事だろう

そう考えれば、莉緒・・いや牧野つくしのあの頑なな態度も頷ける

櫂は、手にしていたスープをごみ箱へ捨てると、ゆっくりと二人の元へ向かう
その二人は、未だツリーの前でキスを交わしている

その二人を、周りの人達が、一定の距離を空け見つめている
それ程、絵になる二人だ


櫂は、二人の横に立つと、そっと声をかける
「莉緒! 皆が見ているぞ?」
「えっ?」

つくしは、櫂の声に我に返ったと言った感じで、パッと唇を離し櫂を見る
一方、類の方は、訝しがりながら櫂を見る

「莉緒・・・記憶が戻ったんだな?」
「うん・・あの・・・」

「悪いのは全て俺だ。 お前が牧野つくしと知りながら、ずっと囲っていたんだからな」
「えっ? 知ってた?」

つくしは、何が何だか判らない
確かに恋人だと言う部分は、嘘ではあるが、記憶の無い自分を、この三年もの間支えてくれたのは紛れもなく櫂だ

「その辺は・・・また東京でゆっくり話をしよう。
その時は・・花沢さんも交えてさ」

つくしは、言葉が出ない
その代りに返事をしたのは類だ

「あぁ、分かった。 所で、あんた誰?」

その声は穏やかだが、視線は鋭く、今にも櫂を射抜きそうだ
そして、つくしを思う気持ちをまざまざと見せつけられ、櫂は改めて完敗だと思い知る

「西園寺櫂です。 詳しくは、つくしに聞いて下さい。 それじゃあ」

櫂は、それ以上何も言わず、二人に背を向け歩きはじめる
そして駅まで来た所で、コートのポケットの中身に気が付いた

「ふっ・・・元々、こうなる運命だったって訳だ」
自嘲気味にポツリと呟き、その小箱を取り出す
そして迷う事無く、ごみ箱へ放り投げた

「幸せになれよ!! つくし!!」
との言葉と共に・・・



つくしは、櫂の後ろ姿をしばらく見た後、ゆっくり視線を類に戻すと、そこには怒りを含んだ表情の類が居た

「何であの男と?」
「それは・・・上司?で・・」

「それに莉緒って言ってたよね?」
「だから、それもいろいろと・・・」

つくしはシドロモドロになる
どこから話して良いのか判らないと言った方が正解だ
そんなつくしの姿を見て、類はフ~と大きな溜息を吐く

「ほんと、あんたって俺に心配ばかりかけさせるよね」
「ごめん」

「それに、こんなに長い間、かくれんぼするしさ」
「うっ・・・ごめん」

「でもまあ、こうして会えたし。
それに、三年前のあの日、俺に急な出張が入ったせいで、こうなったのかもしれないし。
俺にも責任の一端はある」
「それは・・・仕事だし。 それに心配かけさせたのは、私に責任がある訳で」

「うん、かなり心配したし、ずっと探してた」
「ほんと・・ごめん」

つくしは、頭を下げる
その姿を、類はニヤリとした笑みを浮かべながら見ていた

「じゃ・・責任を取ってよね?」
「えっ?」

先程までは、心配を滲ませた音色だったが、急に嬉々とした声色になった事に、つくしは顔を上げる
そこには、ニッコリとした笑顔の類の姿

「牧野・・・結婚しよ? 俺、もう限界。
あんたを幸せに出来るのは俺だけだし、俺を幸せに出来るのも、牧野しかいない。
だから俺の物になって? これからは、ずっと一緒にいよう?」

最後は小首を傾け、お願いするように告げる
元々つくしは、このポーズとこの笑顔に弱いのだが、何よりその言葉が嬉しくて仕方がない

気付けば、大粒の涙をぽろぽろと流し、コクコクと頷いていた

「私も・・・類と一緒に居たい。 もう二度と離れたくない。
ずっと・・ずっと一緒に居たい!!」
と叫ぶように告げ、類の胸に飛び込んだ

その言葉と行動に、類もホッと安堵し、そしてゆるく抱きしめる
そして、つくしの耳元に告げる

「もう・・・離さないから。 ずっと・・ずっと・・離さない」

つくしは、その言葉に感極まり、返事が上手く出来ない物の、何度も何度も頷いた

「牧野、、左手を出してくれる?」
「ん?」

つくしは、ゆっくりと類の胸から離れると、おずおずと左手を差し出す
類は、その左手の手袋を外し、自分のポケットから指輪を取り出す

そして、、、その指輪に、チュッとキスをした後、、つくしの薬指に填めていく

「これ・・三年前のクリスマスイブに、あんたにプロポーズして・・そして填めるつもりだったんだ。
でもやっと、それが叶った」
「うん。 ありがとう」

すると、ツリーの色が真っ赤に変わる
これは、プレミアムレッドツリーと言われるもので、イベントの一環として15分間、真っ赤に染まると言う物

ただ、、あまりにもグッドタイミングで、真っ赤に染まるツリーに、二人も言葉も無くそのツリーを見つめる
そして、空からはまっ白い雪がチラチラと舞い降りている

「さすが、幸せを呼ぶモミの木だ」
「うん。 私達を祝福しているみたいだね」
「だな」

くすくすっ、、ふふふっ、、

しっかりと見つめ合い、自然に笑みがこぼれる


そして・・・
その真っ赤なツリーの下で・・・


二人の唇は、自然に重なった





Rendez-vous demain...


↓おまけつきです♪
web拍手 by FC2
関連記事

Category - 【2016 Noël】

8 Comments

キム  

ご苦労様です。

りおりお様🎶
メリークリスマス🎄🎅
良かった😂類君とつくしちゃんが再会出来て
でも、つくしちゃん類君の香りと声で思い出すなんて…
それも人が沢山いる中でつくしちゃんを見つけるなんてどれだけこの二人は引き合うのだろう❗
クリスマスイブにつくしちゃんと類君が再会するなんて、最高のクリスマスプレゼント🎄🎅🎁✨です😍
西園寺、意外にいい奴だった❗
でも、類君とつくしちゃんの三年を奪ったんだよね〜複雑😰

2016/12/24 (Sat) 17:35 | REPLY |   

asuhana  

西園寺め〜〜♪←引き際よかったから音符をサービスしてあげようっと。
っと、っと、出会えて良かったーー♡
>興奮だろうか?
>寒さだろうか?
>何故か思うように声が出ない
>「まき・・の・・・」
>胸がドキドキし、そのたった三文字すら声がかすれる
ここ、ココ、此処って、ここ三段活用するくらい好きです。
たった三文字。されど愛しい人の名を呼ぶ三文字。
夢でないように願う幸せに包まれて
でも、夢であったらどうしようと
色んな思いがあるんだろうなぁーと思うと
ドキドキしちゃう。
春が美しいのは、長く寒い冬があるからって感じですねぇーーー
レッドツリーの下のキス
くぅっーーーーー  いいなっ♡

2016/12/24 (Sat) 17:36 | REPLY |   

ノエノエ  

りおりお様
こんばんは。
クリスマスプレゼント作品の公開を有難うございました✨
しかも!三話も!!♪───O(≧∇≦)O────♪
つくしちゃんの記憶を取り戻すきっかけは全て類くん!
「『ごめん』と『ありがとう』は聞き飽きた」、スープバー、柑橘系の香り…それだけ、つくしちゃんにとって類くんとの一瞬一瞬がつくしちゃんにしっかり染み付いているんですよね。類くんに抱きしめられ声を聞くだけで一気に記憶が蘇る…約束の場所での再会とプロポーズ、素敵ですね~♡西園寺さんがどんなにつくしちゃんを大切にしても類くんとの絆には敵わない!さすが、りおりお様!!「あんたを幸せに出来るのは俺だけだし、俺を幸せに出来るのも、牧野しかいない。」嬉しくてにやけが止まりませんでした(笑)
おまけもとても楽しませて頂きました。非日常部屋も(笑)。「サンタクロース」のお話はママらしいプレゼントに笑ってしまいました。さすがつくしちゃんママ!!つくしちゃんの「類っていう王子様をきちんと届けてくれた」発言とここでもプロポーズにニンマリです。
素敵なお話を公開して下さり有難うございました(*^^*)
明日の更新も楽しみにしています!

2016/12/24 (Sat) 18:05 | REPLY |   

凪子♪  

西園寺めぇーーーーーー(。´Д⊂)❤
(asuさん凪子泣いちゃったよ!笑笑)
切なくも意外と良い男でしたっ(。´Д⊂)❤
並んだスープ捨てちゃったとこに泣けた!笑
指輪よりもっ!笑笑
そしてなんてイブに相応しい素敵な再会なのっ❤❤❤目の前で情景が思い浮かぶようです~(#^.^#)❤
おまけも素敵っ(*´ω`*)❤
おこた第3弾を密かに期待しましたが(笑)
うふっ❤やっぱり我らが類王子はそうでなくっちゃねっ(#^.^#)❤❤
りおさん素敵なお話をありがとうございます❤
そして明日は…オオトリのアキ(ルイ)姉様ねっ❤
既にたくさんプレゼントを頂いちゃった気分ですが(#^.^#)
もうドキドキです~❤
超楽しみにしてまーすっ(*´ω`*)❤❤

2016/12/24 (Sat) 18:12 | REPLY |   

りおりお  

キム様
長らくお待たせいたしました
やっとやっと、類君とつくしちゃんが再会しました
私に命じられたのは、『ツリーの前での感動の再会』です
もうプレッシャーでプレッシャーで(>_<)
しかも、三年と言う月日が流れていましたから、そこをどう埋めるか…と必死に考えた結果、三話にも及ぶ長編になってしまいました
これでやっとラストにバトンを渡せます
これが類つくと言うぐらいの素敵なラストですのでお見逃しなく!!

2016/12/24 (Sat) 20:54 | REPLY |   

りおりお  

asuhana様
お褒め頂きありがとうございます
>興奮だろうか?
>寒さだろうか?
>何故か思うように声が出ない
>「まき・・の・・・」
>胸がドキドキし、そのたった三文字すら声がかすれる
この類君の心情…
私も好きです←自分で書いておきながらです(笑)
『ツリーの下での感動の再会』を言い渡された手前、こうして感動して下さりホッとしております
有難うございました

2016/12/24 (Sat) 20:57 | REPLY |   

りおりお  

ノエノエ様
コメントありがとうございます
四話まで、かなり切ないストーリーで、ここに来て急展開?ですよね
今までのお話は、この感動の再会の為の布石のような物です
それでも、私のお話でその感動の再会が台無しになったら…と思うと、心臓バクバクしておりました
しかも、お話が長くなり、急遽三分割にしてしまうと言う荒業を使ってしまいました
類君の心情とつくしちゃんの記憶の蘇りが上手く伝わったようでホッとしております
さあ、ラストにバトンを渡して来ました
是非楽しんで下さいね

2016/12/24 (Sat) 21:05 | REPLY |   

りおりお  

凪子様
「西園寺めぇ~~~」が意外と好きです
毎回、asuさんと共に叫ぶ凪子さんに笑わせて貰いました
そしてそして、『非日常部屋』あれ、ほとんどそんな感じでした
今回私が担当した部分が、あまりにも多くて…
しかも長編になってしまい、管理人に無理を言って三話に別けさせて貰いました
感動の再会の後は、ラストのアキさんです
もちろんクリスマスですから…アキさん大張り切り?
是非お楽しみに

2016/12/24 (Sat) 21:14 | REPLY |   

Post a comment