駄文置き場のブログ 2nd season

□ ボツ部屋 □

スワンソング(司BD記念)

swansong.jpg

司! お誕生日おめでとう~!

内容に問題はないのですが…ハッピーエンドではないのでボツ部屋です。
苦手な方はご注意下さい。





司が空を見上げると渡り鳥の群れが空を渡る。
間もなく冬が終る。
冬鳥は北国へと向かうのだろう。

海辺の路を車が通り抜ける。
仕事で訪れた湊町の景色がどこか懐かしくて、ふと車から降りてみたくなった。
渋る西田を「5分だけだ」と説き伏せ、ひとり桟橋を歩く。

ふと足下に目をやると、一羽のオオハクチョウが水を掻く。
羽根に怪我でもしたのだろうか?
何処かもどかしいその姿が、何故かつくしと重なる。

凛として前を見据え、自分の翼で生きるために海を渡る渡り鳥。
かつてF4の赤札という困難に一人で立ち向かったつくしは、ワイルドギースそのものだった。


「別れよう。もう疲れたよ」

突然つくしから出た言葉に驚き、慌てて日本に帰国する。
久しぶりに目にするつくしは、司の知る顔より大人びて美しく
…そして哀しげだった。

日本と米国。2人を隔てる地球半周程の距離。
どれだけ離れていても、気持ちが繋がっていれば大丈夫。
ずっとそう思っていた。司もつくしも。

父親である会長急病を補うため、自ら決めて渡米した。
つくしは、自らの意思で日本に残った。
そのことについてはどちらも後悔はない。
『4年後に迎えに行く』
その約束だけで、2人が思い描く未来はずっと続くのだと、信じていた。


だが『遠距離恋愛』は、そんな優しいものではない。


一大企業を牽引するというのは、英才教育を受けてきた司にとっても、困難と苦労の連続。
分単位のスケジュール。
取引先の顔と名を覚え、貼り付けた笑みを浮かべて握手を交わす。
日本に居るつくしのことは、『大丈夫』から『大丈夫だろう』に変わって行く。
『そんなこと』くらい、つくしだったら大丈夫『だろう』に。


だから、気付かなかった。
司の婚約者として、どれだけつくしが、つくしの家族がパッシングを受けているのか。
告げようとして、忙しく働く司を見ると何も言えず、ひとり胸にしまっていたのか。
それにより、どれだけつくしの身体と心を蝕んでいたのかを。

些細な心のずれ。
近くにいれば修正が出来たはずなのに、司が気付いたときにはもう、どうしようもない程になっていた。


「本当に…いいのかよ…。これで終わりで…」
低く呟く司の言葉に、つくしが黙って頷く。

つくしに会うまでは、何を言われても手放すつもりなどなかった。
米国へ、首に縄を付けて引っ張って行く。或いは無理矢理何処かに閉じ込めてもいい。
つくしにどれだけ恨まれても、憎まれても構わない。
雁字搦めにして縛り付けても、自らの側からは離さない。

なのに、只でさえ細かったつくしが一回り以上小さくなり、立っているのもようやっとの姿を見たとき、
そして司の姿を見て儚く笑うのを見たとき、自然とその手を離す。

そんな顔が見たかった訳じゃない。
司が見たかった笑顔は、それじゃあない…。
元の笑顔を見るためには、手を離すしかない。


「じゃあね…」

旅立つ司を、小さく手を降りつくしが見送る。
風にたなびく黒髪にふと触れたくなり、手を伸ばし掛け…止める。
触れたら離せなくなるのは、判っていたから。
ぎゅっと手を握りしめ、つくしに背中を向ける。



桟橋に立ち思いを巡らせていると、足元の渡り鳥が大きく鳴く。
残る力を振り絞り鳴くそれは、群れからはぐれた渡り鳥の嘆きの声。

その刹那、司は気付く。

あの傷付いた鳥は、つくしじゃない。
自分だ。

つくしはどれだけ傷付いても真っ直ぐ前を向き、新たな大地を目指し飛んで行く。
傷付き群れからはぐれ、何処にも行けないのは、司自身の方だ。

渡り鳥が鳴く。それは最期の叫び。
その場に膝を折る司の眼に、白い羽根が舞い散る様が映っていた。


-fin-






はい、誕生日に何書いているんだ!? の別れ話。
今回のイメージソングは、KinKi Kidsの『スワンソング
※うたまっぷにとびます。貼付に問題がある場合には撤去致しますので、ご連絡下さい。

KinKiの曲、アルバムを1枚聴くと
類のイメージは2~3曲、総ちゃんが1曲、あきらは2枚に1曲くらい…?
歌詞の一人称が『僕』なので、どうも司はイメージしにくいのですが
この曲は司だ! と思ってがーっと書いてみました。

…が、誕生日にコレはどうよ…??
(昨年のあきらくんBDは、ある意味もっと酷かったけれど…)

でも折角書いたしなぁ…。この曲好きだしなぁ…。
というわけで、2ndボツ部屋にてUPと相成りました。

Wild Geese=渡り鳥
つくしを渡り鳥と表現するのは『コンチェルト』でも使ったのですが、好きなんですよね…(^^;)

司とつくしが何故別れたのか?
その辺は短編恒例、
皆様のご想像にお任せ致します~<(_ _)>


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