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駄文置き場のブログ 2nd season

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Le bouquet スピンオフ③ -空色-

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スピンオフ③


「つくしさん!ずっと大好きですからっ!」

「……玉砕して来て下さいっ!!」


『玉砕して来て下さい』
って言ったのになぁ~、砕け散ったのは俺の方だった。

なけなしの痩せ我慢やら勇気を振り絞って、彼女の背中を想いの限りで押してやった。
彼女の笑顔が大好きだったから、俺ではあの笑顔には出来ないと思ったから。
きっと、彼女の笑顔は彼でなくては引き出せ無いのだろうと、そう思ったから。

振り向いてガッツポーズした時のキラキラした彼女が、
俺が引き出す事が出来た彼女の最高の笑顔だったのが、悔しいやら嬉しいやら……で、
ほんの二ヶ月弱のカレカノの関係だったけど、
人を好きなる事、その人の幸せを願う事、
何より人としての大切なモノを沢山教えて貰った気がする。


……大人の階段、上っちゃったよ。…俺。


花沢さんは、うちの店の前に聳え立つ花沢物産東京本社ビルの花沢物産 御曹司?とやららしいけど、
俺にとってはどうでもイイコトで、
偏につくしさんが幸せそうに笑っていられる事。
それが何よりも大事な事なんだ。

あの日、つくしさんのアパートの前で見た花沢さんの背中が、
余りにも切なくて悲しくて、決して二人の邪魔をしていた訳では無いのに、
訳の判らない罪悪感を抱いてしまったのも、
嘘では無い。

…………嘘では無いが、思いもしなかった伏兵にヤられた様な……、複雑な複雑な気持ちがあるのも事実だ。
本音を言えば……、
ちょっと、いや、結構、キニクワナイ。


思えば、俺は、花沢さんと言葉を交わした事など無い訳で、つくしさんがつくしさんらしく笑っていられれば、
其れだけで、良い。
その一点だけで、彼女の背中を押した訳だ。
今日も、店仕舞いの時間に合わせて、迎えに来るのだろう。
幸せそうな、嬉しそうな顔をして。


『花沢 類、ごめんね、お待たせ』

『……ん、待ってないよ』


なーんてなーんて会話を元カレの俺の前で、繰り広げてくれる訳だ。

シツコイヨウダガ……、モトカレノオレノマエデ……ダ。


♪~♪~♪~♪♪


来客の知らせに振り返れば、男の俺でさえ見惚れる美丈夫 花沢さんが所在無さげに店の花を眺めていた。


………ヒトコト、 言わせて貰ってもいいかな?


「………花沢さん、つくしさん、もう来ると思いますんで」

「………つく……し…?」

「……ぁ、牧野さん……です」


つくしさんって呼ぶのも、気に食わないって事ですか?
俺は、つい数日前まで彼氏だったんですけどね?
…………目の前の美丈夫が怖くて、言えないですけど。


「…………あの、花沢さん……」

「……あんた、名前は?」

「北山 ……北山 海です」


胸のネームプレートをずいっ!と目の前に翳して名乗れば、
ふーん、と気の無い返事。


「……あのっ!」

「……ん?………なんだっけ」

「……海です、北山 海っ!」

「あぁ、で?何?」

「つくし……、いや、牧野さんを泣かせないで下さいね」

「…………………」

「もし、……もしも、泣かせる様な事があったら、俺、許しませんからっ!」

「…………………………………」


牧野さんの云うところのビー玉みたいな瞳にロックオンされて、
何も言えなくなり、オマケに鼻で嗤われた。
………ような、気がする。


「……これ、包んでくれる?」


花沢さんが手にしたのは、今日入荷したばかりのネモフィラとサクラソウの寄せ植えだった。
つくしさんに贈るのかな?
入荷したその花を見て、可愛い♪を連発していた彼女を思い出す。


しっかし、この人……脈絡の無い人だよなぁ~。
牧野さん、本当に幸せになれんのかな?


我ながら可愛く包めたと思うその寄せ植えを花沢さんに渡した処で、帰り支度を終えた牧野さんが出て来た。


「花沢 類、ごめんね、お待たせ」

「……ん、待ってないよ」


出た出た、目の前で Happy world♪
さっき、俺をロックオンした時の瞳と色が違い過ぎやしませんか?
気のせいですかね?


「あれ?どうしたの?それ?」

「……ん?可愛いだろ」

「うん♪」


「……あぁ、そうだ。……これ、あんたにあげるよ………んーと、」

「……チッ、北山っ、北山 海ですっ!!」

「……ぷっ、北山 海くん。はい、プレゼント♪」


つくしさんに、渡すとばかり思っていた寄せ植えの鉢は、
今、おれの手の中に……。
ニコニコ顔の花沢さんに、俺の元カノは連れて行かれてしまった。

呆気にとられて魂が抜けた俺の前に、
最近見馴れた黒塗りのでっかい車が滑り込んで来た。


「くっそぉー!!遅かったかぁ~」

「司、諦めろ。今、あの二人は蜜月なんだからさ。邪魔すんじゃねーよ」

「たまにしか戻って来れねぇんだからよぉ、食事くらい良いだろ」

「……無理だと思うぜ」

「まぁ、無理だな」


「おっ!少年……えーと、海くんだっけ?」

「………あの、あなた方は?」

「俺は、世界の道明寺 司だ。牧野の彼氏様だっ!覚えておけ、少年」

「……………………」

「司、嘘はダメだな、嘘は。元カレな、モ・ト・カ・レ♪」

「あっ!海くんと一緒じゃん。元カレ同士?」

「よくよく見れば、イイ男じゃん。牧野も罪作りな奴だよな」

「海くん、その花どーしたのかな?」

「……あぁ、さっき花沢さんから……プレゼント?されました」

「あぁーー、類の奴も……な」

「少年、良かったな」

「………?………」

「花屋なら知ってんだろ?花言葉」

「あ、えぇ。ネモフィラは……」


「……………!!!!」


「なっ、良かったじゃん。潰される心配は無い訳だ。あっはは」
「青春のはじまりと悲しみねぇ」

「類の奴、牧野に彼氏が居るって知った時、
荒れてたからなぁ」

「牧野に触ったのは許せなくても、結果的に牧野の背中を押したのはあんただろ?」

「あいつなりの、気持ちなんじゃねーの?」

「………………………」

「海くんも、頑張りたまえ、なっ」


「よしっ!類の行きそうなとこ探すぞっ」

「……司、探すのかよ?」


花沢さんの、友達だか幼なじみだかと言う賑やかな三人は、嵐の様に現れて嵐の様に去って行った。
何なんだ、あの人達は。



………に、してもだ『許す』って何だよっ!
許すのは、こっちだろっ!

くっそぉーー!俺は、俺はっ!
花沢さんなんてっ!大っ嫌いだっ!!!



おしまい♪



ネモフィラの花言葉

・どこでも成功
・可憐
・あなたを許す

サクラソウ(プリムラ)の花言葉
・初恋
・憧れ
・純潔
・青春のはじまりと悲しみ
・青春の恋





↓おまけつきです♪
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