駄文置き場のブログ 2nd season

□ 頂きもの♡ □

スコール (by 桃伽奈 様)


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こちらのお話は、人気花男二次サイト
『紅茶カップ』の桃伽奈様より頂戴致しました。
桃伽奈さま、ありがとうございます。<(_ _)>

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 鉛のような暗い空。
 土砂降りの午後。
 学園の昇降口であたしは空を見上げて大きなため息を吐く。
 一時間の降水量……なんて言って、夕方にニュースで流れるんじゃないかっていうくらいの強い雨。
 10メートル先は何も見えない。
 傘があってもこんな中、帰宅しようなんて思う人はいないだろうって思うし、周りを確認すると家に電話をかける生徒が多数。
 どうやら「車で迎えに来て」と家の人にお願いしているみたいだった。
 あたしも出来ればそうしたい……。
 ちょっと羨ましく横目で見た後、もう一度空を見上げる。
 もうちょっと待ったら雨も落ち着くかな……。
 あたしの家は車なんて持ってないし……第一パパもママも仕事で来てくれるはずがない……。

 そして傘がないのだ。

 あたしの心を空の色の様に暗くする一番の原因はその事なのだ。
 先週梅雨入りをしたばっかりだ。
 朝は晴れていても、折りたたみ傘くらい鞄に入れておかなければいけない季節。
 こんな日に傘がないだなんて、どんなドジなんだろう……って自分を罵りたくなるが、今回に限ってあたしは悪くないっ。
 原因を思い出すと沸々と怒りが込み上げてくる。
 確かに鞄に折りたたみは入れていなかった。入れていなかったけど、あたしは学園に置き傘をしていたのだ。
 その傘が盗まれたっ。

 こんな雨の日に傘がないなんて……。
 誰かの傘をこっそり拝借したい気持ちも分かる。
 分かるが、それはやっちゃダメだろっ。

 だって本来の持ち主であるあたしが使えなくなっちゃうんだからっ。

 誰だ……。
 勝手にあたしの傘を持ち出したヤツは……。
 締め上げて一言言いたい。
 しかもあたしのお気に入り……蛙の絵が描いてある可愛い傘。
 左右を確認し、周りの生徒が持っている傘を見るが誰もあたしの傘を持っている人はいない。
 もう使って家に帰っているんだろうけど……。諦めきれずについ周りの人の手元を見てしまう。

 ……はぁ。
 外をみると、さっきよりも雨脚が大分弱くなってきたように感じる。
 晴れの日のようにとは行かずとも、まわりが見渡せるくらいの視界になった。
 今日はこのあとずっと雨だって言ってたし、いくら待っても止む事はないんだろうな。
 なら、ちょっとマシになった今のうちに走って帰るべき?
 でも間違いなく家に着いた頃はびしょ濡れなんだろうけど……。
 こういう時、一緒に帰ろうって言える仲の良い友達でもいればなぁ……。 
 ……はぁ。
 何回目かのため息をついたところで、後ろから声を掛けられた。
「牧野?」
「あ、花沢類。今帰り? 遅いね」
「ん……教室で本読んでたら、みんなもう帰ってた」
「あはは……そうなんだ」
 他のF4メンバーに置いて行かれたって事?
 どんだけ集中して読んでたんだろ……。

 花沢類は、昇降口に立ち止まったままのあたしを見て、
「帰らないの?」
「傘なくて、雨がマシになるまで待ってるの」
「そ」
 それだけ言うとあたしの前にでて、バンッと音を出しながら自分の傘を広げた。
 ああ……普通は「ここで一緒に入る?」とかの展開を期待しちゃうもんなんだけど……。
 そんな都合よくいかないよね。
 だってあの花沢類だもん……。
 あたしの視線を背中で受け止めながら、雨の中一歩ずつ進んでいく姿を眺める。
 いいなぁ……傘。
 黒いどこにでもありそうな、大きな傘。
 でもF4が使うもんなんだし、あれもどっかのブランド物だったりするのかな……。
 あたしがそんなことを考えながら眺めていると、立ち止まりこっちを振り返った花沢類はちょっと嫌そうな顔をしていた。
 ……?
 ……なに?
「忘れ物でもしたの?」
「……牧野の視線がイタイ」
「え……?」
「一緒に入る?」
「いいの?」
 あたしが聞き返すと傘をあたしの方に少しだけ差し出してくれた。
「ありがとう」
 あたしは足取り軽く彼の傘の中に入って行く。
 彼の右側に入り、少しだけ意識してお互いに空いた空間。
 さっきよりも雨は弱くなったとはいっても、止む気配の見せない雨に靴が自然と濡れてくる。
 中に水が入る前に家に着きたいな……って思いながら、あたしの歩調に合わせてくれたスピードで並んで歩く。
「あ、花沢類は車で帰らないの? こんな雨の日こそ車なんじゃ。ほかの生徒達も迎えの電話をしてたよ」
「今日は歩いて帰る気分だったから呼んでない」
「そう……雨好きなの?」
「……とくに。梅雨はジメジメするから寝苦しいし。牧野は雨嫌いそう」
「うん。パンにカビ生えるしね」
「牧野のイメージは来月くらいだよな。梅雨が明けた時の青い空」
 イメージって……。あたし12月生まれなんだけど……。
「暑い季節があたしなの?」
「トンボとかカブトムシとか……。いろんな生き物が活発に動き出すじゃん」
「あたしは昆虫かっ」
 バシっと音を出して、花沢類の脇腹にツッコミを入れる。
 「イタッ」って声を出した後、立ち止まってあたしの顔をジッと見るので、身構えて彼の顔を見返す。
「……な、何?」
「パーマあててツインテールにしたら、犬にも見えるよね」
「……なっ」
「小型犬が傘に入りたくてジッとこっちを見つめるの。今度あの髪型して」
「絶対お断りっ!」

 あたしの否定の言葉を聞いてから、彼は再び歩きだした。
「あたしだってね。傘を盗まれてなければ、そんな顔してないんだからっ」
「パクられたの?」
「うん……。お気に入りの蛙の傘だったのにっ。明日ちゃんと返してくれるかな……はぁ……」
 あたしの心配とは違い、花沢類は別のことを考えていたらしく、
「……蛙……。蛙も牧野に似て……イタっ」
 最後まで言わせず、もう一度脇腹にツッコミを入れる。
「結局あたしって小さい生き物のイメージなんだね」
「うん」
 と言って、空いている左手であたしの頭をポンポンと叩く。
 確かにあんたから見たらあたしは小さいけど……って拗ねた気持ちでその手を払いのけながら、
「あたしは女子の平均なんだから。あんた達が基準以上なのっ」
「勝手に伸びちゃったからね」
 その涼しい顔が憎たらしく感じる……。
 身長が大きい人は、平均の人よりも日常生活でドアを潜ったりする機会が多かったりとかで、腰を曲げる事が多いから腰痛になりやすいって聞いた事あるのを思い出す。
「……腰痛で苦しめ」
 って呪いの言葉がつい口から出てしまった。しっかり彼の耳にも聴こえていたらしく、
「……この傘、俺のなんだけど」
 そう言ってあたしの方に寄せていた傘を自分の方に持って行こうとするので、慌てて謝罪する。
「わっ……ごめんなさいっ。……お、大きく育って良かったね」
「どこら辺が良いの?」
 ちょっと引きつった笑顔のあたしに、いきなりの彼からの質問に暫し考える……。

 背が高くていい事?
「……た、高いところに手が届くとこ?」
「便利に使われそうだよな。「これとって……」とか、あんたに」
 ……う。
 否定できないかも。
「……人の頭が邪魔にならないから、よく遠くが見えるし」
「逆に言うと、後ろの人には邪魔だってことだよね」
 ……確かに。
 花火大会とか……前の人が大きいとよく見えない。
「……」
「……」
 考えた結果、出た結論は……。
「……あんまりいい事ないかも」
「……」
 たぶんモデルとか……そういうルックスを活かす仕事をする人なら、必要なんだろうけど。
 あとスポーツマンとか?
 花沢類にとっては……。
 ……んっ……と。
 ……。
 ……。
「……もう考えなくていいよ」
「なんかごめん」
 それから気まずい感じになり、お互い無言で雨の中を歩く。

 鉛色の空は相変わらずで、この雲がなくなり青い空が見える時を待ち遠しく思う。
 足元の水たまりを踏まないように気を付けながら、時々飛び跳ねるあたしに、
「ジッとして歩けないの?」
「水たまり踏まないようにしてるの……。あっ、いいことあるじゃん。あたしと違って、水たまりを跨げるし。そのコンパスはみんな憧れると思うよ」
 やっと見つけた良い点をあげると、「まだ続いてたんだ……」っていうどこか呆れた声が小さく聞こえた。
 そのすぐ後、嫌な予感がする音が傘にあたる。
 雨の音が急に強くなってきた。
 あたしが「まさか……」って思う間もなく、
「牧野、こっち寄って!」
 って言う花沢類の声と共、傘を左手に持ち替え、あいた右手でグイっと引き寄せられた。
 それと同時にバケツの水をひっくり返したような雨が降ってくる。
 立ち止まり傘の中心部分に2人で抱き合っていても、アスファルトにあたり跳ね返った雨が靴と靴下をぐっしょりと濡らした。
 うわぁ……靴の中、気持ち悪い……。
 天から降る雨が重いのか、片手で持つ傘が小さくブレている。
 雨の音が鳴り響き10メートルどころか、3メートル先ももう見えない。
「すごい雨……」
 腕や服も湿っぽくなってきて、汗をかいているわけじゃないのに顔もベタつく。
「……」
「……」
「牧野……」
「何?」
 名前を呼ばれ顔を上げて花沢類の顔を見ると、

「チュッ」

 ……え?

 ……。

 軽く触れるような唇のキスに一瞬固まる。
 たっぷりフリーズ時間を貰った後、我に返ったあたしはベタついた顔が赤くなるのを感じた。
「なっ、何すんのっ!」
「誰も見てないよ」
「見てない……って」
 確かに雨が凄すぎて周りは何も見えない。
 でも見えないからってするもんじゃないでしょっ。

「俺に酷いこと言ったお仕置き」

 お仕置き……?
 酷いこと……って……。さっきの「腰痛になれ」って言葉?
 謝ったじゃん。
 それに、それ以上に酷いことを散々言われた気がするんですけど……。
 反論しようと口を開きかけると、
「あ、少し雨がマシになってきたね」
 彼の言葉にバケツをひっくり返したような雨が弱まり始めたことに気付く。
「ホントだ」
「今のうちに帰ろ」
 花沢類はそう言って歩き出すので、あたしも傘からはみ出ないよう歩き出す。
 抱き寄せるために持ち替えた左手のまま彼は傘を持っているので、彼の右手はあたしの左手に繋がれた。


 さっきまでよりも近づいた2人の距離は、あたしの住んでいるアパートまでずっと変わらなかった。


 アパートについた花沢類は、
「俺、雨の日もそんなに嫌いじゃないかも」
「……まぁ、たまにはね。……でも雨は時々でいいよ。それより中に入って。靴も靴下もぐっしょりで気持ち悪いでしょ」
「ん。お邪魔します」
 そう言って家に入った花沢類は、居間に入るためのドア通るのに少し腰を曲げた。
 ここは古いアパートだから、昔の日本人の平均身長に合わせて作られていて、天井が低いんだ。

 その姿を見て、何でか笑顔が浮かんだ。









実はですね…
今日なにげなーく連絡が入っていたので…
何かなぁ…? と思っていたら「おめでとうございます」の文字が。
??? と思いつつ開けてびっくり玉手箱!!
お話が入っておりました(^^)
しかもワタクシの好きな、福山雅治さんの『squall』イメージのお話が♪
↑と、勝手に思っている、身勝手な星香(^^;)

桃伽奈さまとは偶然から、突撃『おとなの掟』を強奪して依頼のご縁。
サプライズプレゼントに狂喜乱舞しております~(^^)♪
これからも宜しくお願い致します~<(_ _)>



なお、この作品に関する権利の一切は、作者である桃伽奈様にございます。
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桃伽奈様へのオープンコメントが照れます~と仰るシャイな方。
私で宜しければ伝書鳩になりますので、クローズコメントでお気軽にどうぞ♪
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このコメントは管理人のみ閲覧できます
2017/06/13 【】  # 

* 鍵コメ「りお」様

ご訪問&コメント、ありがとうございます♪

うふふ~そうですよね(^^)♪
続き、読みたいですよねぇ…
うふ、頑張ってお強請りしてみようかしら…?
ニヤリ…

メッセ、お預かり致します~<(_ _)>
2017/06/14 【星香】 URL #- 

* 承認待ちコメント

このコメントは管理者の承認待ちです
2017/06/15 【】  # 

*

り様
 コメントありがとうございます♪
 流石ですww
 傘盗んだのってご想像通り司なんです。好きな子をイジメるっていう、小学生のあれです^^;

 最初考えたのは、つくしちゃんの帰り道にあるカフェの傘立てに、盗まれた蛙の傘があって「ああ、あたしのっ」って気付いたつくしがお店の中に入ると、司が得意顔でコーヒー飲んでいて、……でも一緒にいる類に気付づき、相合傘をしていた事を知った司が逆に発狂するって話でした。
 
 類→つくし←司 の関係かなぁって思いながら書き始めたんですが、ただの日常みたいな話になってしまい……類つくっぽくなくて……^^;
 司の下りは大幅カットになりました><w
 今頃、つくしが来るのをコーヒー飲みながら1人で待っているかと思います……;;
 お話を読んで下さりありがとうございました♪
 桃伽奈
2017/06/15 【桃伽奈】 URL #- 

* 桃伽奈さま

ご訪問&コメント、ありがとうございます。
それに加え…今回はお話、ありがとうございました。<(_ _)>
もう、狂喜乱舞しておりましたよ~(^^)
福山さんの「squall」良いですよね。
男性が色っぽく、女性の心情を歌う歌って好きです(^^)
うふ、…なんでも…ですか…?
聞きましたよ~取り消しナシですからね。ニヤリ…
↑まむし、発動中

こちらこそ、本当にありがとうございました。<(_ _)>
2017/06/17 【星香】 URL #- 

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