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Fantasy 10話 Gipskräuter

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F4×つくしver

『随分と設定がずれておりませんこと?』
『別に失敗した訳じゃ…。』
『したんですね。』
『…。』



「うぇーん…ぇん、ヒック…ヒック…。」

どこからともなく聞こえてくる泣き声にあきらは耳を澄ました。
立ち止まるあきらに総二郎も足を止める。
あきらは泣きじゃくる少女を見つけると歩み寄りその前にしゃがみこんだ。

「どうしたの?」

元々優しい上に妹のいるあきらには放っておくことは出来ず、少女の顔を覗き込む。

少女は涙を溢しながらあきらを見上げると、しばらくポカーンと見つめていた。

「おにいちゃんとってもきれい!!」

「そう?ありがとう。お名前は?」

「おい、あきら。何してんだ?」

少女の前にしゃがみこむあきらに総二郎が声をかけ近づいていく。

「なんか迷子っぽいな。」

「おにいちゃんもキレイ!!
かみ、サラサラ~!」

「くくっ、ありがとう。
君もサラサラだからお揃いだね。」

「おそろいってなぁに?」

「お揃いって言うのはおんなじってことだよ。
おにいちゃんの髪と君の髪。ほら、一緒だよ。」

総二郎はそう言って少女の長い髪に手を伸ばし、髪を一房持ち上げるとサラサラっと落としていく。

「おそろい~!つくしちゃんのかみ、おにいちゃんとおそろいっ!!」

それを聞いたあきらはつくしに声をかける。

「つくしちゃんて言うんだ?
可愛いお名前だね。」

つくしはにんまりと笑顔を浮かべた。

「まきのつくし、4さいです!」

「どうしたの、そのコ?」

「迷子みたいだな。」

「ふーん?」

つくしは突然現れた類に目を奪われている。

「てんしさま…。てんしさまだ~!!」

目の前の少女に類はにこりと微笑んだ。
普段なら決してしないはずなのに、どうしてこの時はそうしたのか、本人も分かってはいない。

「お前ら何やってんだよ?
なんだ?このちっせぇの?」

その鋭い声につくしは思わず総二郎の後ろに隠れていた。

「司ー。脅かすなよ。怖がってんじゃねぇか。」

つくしは総二郎の影からそぉっとそぉっと司を覗き見る。

「おにいちゃん…。かみ…くるくる~。」

「「「ぷっ!!」」」

つくしの言葉に三人は声を揃えて笑い出す。
先程まで怯えていたというのに、つくしはキャッキャ、キャッキャとはしゃぎはじめる。

「おめーら何笑ってやがんだ!!」

その声につくしは慌てて総二郎の足元に逃げ込んだ。

「やめなよ、司。大人気ない。
このコ可愛いじゃん。
ぱっちりお目目で、くるくる表情が変わって。
ねっ?」

首を少し傾け微笑みかける類につくしのほっぺはみるみる赤くなっていく。

「ぷぷっ。ほら?」

「「だな、くくっ。」」

つくしの可愛らしい表情に司も戦意喪失し、フウッ息を吐き出す。

「で、なんなんだよ?このガキ…。」

「迷子みたいだね。」

「チッ。ガキはこれだから…。」

そう言う司だがその頬は少し緩んでいる。

「じゃあつくしちゃんのパパとママ、探そうか!」

「…パパ…ママ……。うっ、うぅ…。」

現状を思い出したのかつくしは今にも泣き出しそうだ。

「つくしちゃん、このくるくるのお兄ちゃんが肩車してくれるって。そしたらパパもママもきっと直ぐに見つかるよ。
なっ、司。」

「はぁーっ?なんで俺が!!」

「一番背高いじゃん。
ほら、早くしないと泣いちゃうよ?」

「チッ、しょうがねーな…。つくし、来い。」

言葉は悪いがその表情は先程までとは違い、頬が緩み照れているのかうっすらと赤く染まっている。
それを見たつくしはトコトコと司に近づいた。

司は両脇の下に手を伸ばし、一気につくしを持ち上げる。

「ちゃんと掴まってろよ。」

「きゃははっ、たかいたかい~。」

泣きそうになっていたつくしは肩車が気に入ったのか、ご機嫌だ。

「じゃあ、探すとしますか!!」

「どうやって?」

総二郎の掛け声は類の言葉に掻き消された。

「こうしてこの辺探してれば見つかるんじゃないか?」

あきらはそう言ってつくしを見上げる。

「つくしちゃん、パパとママが見つかったら教えてね?」

「はい!わかりました!!」

分かっているのか、いないのか。
つくしは嬉しそうに答える。

辺りを見回したり、時に司の髪を弄り、『触るんじゃねぇ!』と怒られ、びっくりしながらまた辺りを見回す。

そうこうしていると後ろから声が聞こえてきた。

「…くし、つくしっ!」

四人は立ち止まり振り返る。

「あぁ~、ママ~!」

つくしの嬉しそうな声に司はつくしを下ろした。

『もっと~!!』とせがむつくしをよそに母親は口を開く。

「あらあらすみません、ありがとうございました。
ちょっと目を離した隙にこの子ったら…。
つくし、こっちにいらっしゃい!
お兄ちゃんたちにお礼を言うのよ。」

つくしの手をしっかりと握り、そう言い聞かせる。
つくしは四人を振り返る。

「おにいちゃん。ありがとうございました。
またあそんでね!!」

「「ぷっ。」」

ペコリとお辞儀をしながらも『遊んでね』という言葉に類と総二郎は噴き出した。

「もうお母さんの手を離しちゃダメだよ?」

とあきら。

「はいっ!」

とつくし。

「それではありがとうございました。
行くわよ、つくし。
ちゃんとバイバイして?」

深々と頭を下げると母親はつくしにそう言った。

「おにいちゃん、ばいばーい。」

つくしは手をぶんぶんと振り、時折振り返りながら歩いていく。
あきらと総二郎、類の3人はその可愛い姿を見送っていた。


「おいっ、いつまで見てんだよ。行くぞっ!」

名残惜しげに見つめながらも声をかける司。

「「「あぁ。」」」

あきらは妙に親近感を与えるつくしが気になり何度も振り返ってはその姿を見つめていた。

「ってかさ、明日の入学式やっぱ行かねぇとダメなワケ?」

総二郎はつくしと分かれ、また平凡な日常に戻ってしまったことを退屈に感じている。

「めんどくさい…。」

先程までの微笑みは何処へやら。
こちらもすっかり日常へと戻っていた。


彼らはまだ知らない。
この時代のつくしに巡り会い、恋に落ちることを。



家にたどり着いたつくしはクリクリお目目をパチパチしながら、お兄ちゃんたちの話に夢中だった。
それほどにつくしにとって印象的な出会いだったのだ。

「あのね、キレイなおにいちゃんといっぱいおはなししたの!」
「つくしちゃんのかみはおにいちゃんとおそろいなんだってー。えへへ~!」
「てんしさまもいたんだよ!!
とってもとってもね、おめめがキレイなの~。」
「あとね、くるくるのおにいちゃんもいたんだよ~。うふふ。」
「あのねつくしちゃん、またおにいちゃんたちにあいたいの…。
あえるかなぁ…。あいたいなぁ………。」
「あと…ね……。」

つくしは喋り疲れたのか、はたまたはしゃぎすぎたのか。
そのまま深い眠りへと落ちていった。


『あらあら、寝てしまいましたわね。
でもまぁこの世界では選ぶどころではなかったでしょうし、よかったのかもしれませんわね。』


スヤスヤと気持ち良さそうに眠るつくしにその声は届かなかった。
拍手ありがとうございます♪
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