Pure love

Pure love 9話 lemmmon 前編






幸福感に包まれて目覚めた私は見覚えのない部屋にいてもたいして気にはならなかった。
それは愛する男に抱きしめられているから。まだ目覚めていない男は伸びた顎の髭を微かに動かしては寝息を立てている。私は二日酔いの残る頭だったけれどそんな彼の姿を見れる幸せに浸っていた。
「ん...」
「道明寺、起きた?」
「ああ。ふぁあ....ここどこだ?」
そんな道明寺の一言で事態を把握した私。
どうやら私をここに連れ込んだのは道明寺ではないらしい。
腕に絡ませた私を解いて部屋の様子を伺う。石造りの壁は道明寺が強めに叩いても外に響いてないようだった。唯一あるドアですら手荒に動かしても動く様子はない。
「え...私達閉じ込められちゃったの?」
「そうみたいだな。...あいつらか?」
「え、あいつらってあの3人が?!」
あの3人とは花沢類に西門総二郎、美作あきらの事。彼らとは昨夜私達が結婚する意思を確認し合った後多忙な道明寺を足留めさせ久々にグラスを傾けたのだった。それで私はお決まりのように真っ先に潰れた訳なんだけど...
「そんな...あんたがここに連れて来たんじゃないの?」
「いや、覚えがねぇ。つうか、途中からの記憶もねぇ。あいつら俺に何か盛りやがったのか?」
「盛り...それって薬?な、なんであの3人がそんな事あんたにするのよ。理由がないじゃない。」
「...そうだな。確かに理由がねぇ。それじゃ誰が俺達をここに連れて来たんだ?」
「誰って...まさかあの3人に何かあったとでも言うの?」
「ここはイタリアだ。このご時世何があるか分からねぇからな。俺ら同様に別々にされてるとも限らねぇかもな。」
「そんな...」
私の頭にテロという言葉が過ぎる。どうしてという疑問は道明寺が類の別荘にヘリで来た事で納得してしまった。
道明寺をここまで来させた原因。私はそれに打ちのめされてしまっていた。
「なんて顔してんだよ。お前のせいだとでも思ってんのか?」
「だって、だってそうでしょう。」
「お前のせいじゃねぇ。お前を不安にさせた俺のせいだ。だからこの後始末はこの俺様がきっちりカタをつけるぜ。」
「カタって...どうやって?」
「とりあえずこっから出る事だな。ドアから出れねぇとするなら...あそこから出るしかないか。」
道明寺の視線の先にあるのは通気口と思しき枠だった。椅子を使ってあいつは難なくそれの蓋を外す。そして中を確認して私を振り返った。
「なんとか通れそうだぜ。奥に光が漏れてるから外と繋がっているのは確かだ。」
「そ、そう。」
「俺が抱えるからお前から先に行け。」
「え、あ、うん。分かった。」
目に見えない敵に私は道明寺から離れられなかった。ううん。そうでなくてももうこいつから離れないって決めたんだ。いざとなったらこいつの盾にだってなってやると私は震える心を叱咤して拳を作っていた。
「安心しろ。俺様がいる。何があってもお前に危害は加えさせない。」
道明寺の優しい声に胸が押し潰されそうになる。私はそんな道明寺に自分から唇を重ねていった。積極的に舌も絡ませる。道明寺が飲んだ昨晩のお酒が残っていたけれど、お酒がなくても私はこいつに酔っていた。それくらい私は道明寺司を愛していた。
唇を離したあいつは苦笑いしてた。それはこんな時に素直になる私に対してなんだろう。でもね、大丈夫だってば。私はもうあんたに意地を張らないって決めたの。本当だよ。
私に見つめられながらあいつは私の身体を持ち上げた。そして中に入るよう促し、私はようやくあいつから顔を背けた。


相変わらず考えている事が顔に出る牧野に笑えてくる。だが状況が状況なだけにこいつをからかう事はしなかった。
俺はあいつらの事を口にしたものの1ミクロンとも疑ってなかった。幼馴染で親友。同じ女に惚れたのがその証拠だ。類にはこいつの初恋を持ってかれた。俺がNYに行き離れていた4年間は総二郎やあきらにもこいつの事を任せるしかなかった。だからあいつらが俺から牧野を奪おうと思えばいつだって出来たはずだ。なのにそれをしなかったって事はあいつらは俺に牧野を託したって事だ。それは今でも変わってなくその証拠に牧野を不安にさせた俺でもわざわざこんなイタリアまで呼び寄せたんだろう。
だからこの状況はかなりヤベエって事になる。俺と牧野が一緒なのはおそらく俺が牧野を離さなかったんだろう。薬を盛られてもこいつを離さなかった事に俺は誇らしさを隠さなかった。
だからこいつへの気遣いにも熱を込めてしまう。そして今の牧野はそんな俺を素直に受け入れた。こいつから舌をねじ込む事なんて今までにはなかった事だ。ただでさえ高まっている俺の熱は放出する事を忘れ牧野に溺れそうになる。
だが俺は唇を離した。苦笑いするのは許せ。俺だってこんな状況じゃなきゃ逆にお前に覆いかぶさっていた。そんくれー良かったんだぜ?
牧野の細い腰を持ち上げ牧野は通気口へと入って行った。
昨日から着替えてない俺達。牧野はスカートをはいていた。
目の前のパンチラに俺のマグナムが激しく反応する。予想してなかった攻撃に俺は思わず鼻息が荒くなり舌舐めずりしてしまった。
「道明寺、どうしたの?来ないの?」
牧野の声にハッとする。俺は椅子を使わずに腕力だけで通気口へと上半身を入れていった。
「堪らねぇ...」
「ん、何か言った?」
「い、いや、何でもねぇ。進めるか?」
「うん大丈夫。やっぱり狭いねここ。道明寺は大丈夫?」
「......じゃ、ねぇな。」
「え、何?よく聞こえない。」
「いや、何でもねぇ。進もうぜ。」
牧野が心配するように確かに通気路は狭かった。俺は身体を斜めにし肩を縮こませないと隙間が作れねぇほどだ。
だが狭さなど全く気にはならなかった。
空間いっぱいに広がる牧野の匂い、そしてその光景を追って無我夢中で前進していたからだ。
だがほふくでしか前進出来ねぇのが俺を苦しませる。見えてはねぇが俺の進んだ跡には体幹や手脚の他にもう一つ線が付いているはずだ。擦りてぇのはこんな埃だらけの通路なんかじゃねぇ。パンツに覆われてるが目の前で太腿で見え隠れするそのぷっくりした中の通路だ。
俺がそんな事など考えているとは思わねえ牧野は必死で前に進みやがる。
だが出口に突き当たったのか少し距離を離された牧野がようやく止まった。
俺にはチャンスにしか思えなかった。このまま進めば、あのぷっくりに顔からダイブだからだ!
「うひゃっ。ちょ、ちょっと道明寺止まってよ。多分出口だよここ。」
だがぷっくりには届かなかった。牧野の脚に肩が引っかかり鼻先も届かねぇ。
撃沈する俺をよそに牧野はガタガタと通気口の蓋を開けようとする。が上手く外せねぇようだ。向こうより頑丈に留められているのか、それとも牧野の握力が原因かは分からねえが。
しばらく待ってみたが牧野は焦る一方で外れる気配がないため俺は手助けをする事にした。
ぐいっと前進し牧野の脚に乗っかる。
牧野はうつ伏せだが上体を起こしていた。
「うわっ。な、何道明寺?」
「ん、時間かかりそうだしよ、喉も乾いたから...」
そういうと俺は牧野のスカートを口に挟みながらさらに進み、大好物の小せえケツに顔を埋めた。
「うひゃっ。ちょ、ちょっと道明寺あんたどこに...ひゃあん。」
俺が太腿を舐めると牧野が鳴いた。
たっまんねーだろその声はよ。
俺は当初の企みも忘れ牧野の甘い汁を求めては口と舌を器用に動かし泉の湧き出し口へとさらに顔を埋めていった。
「も、もうー、止めてってば。止めてよ道明寺!」
お前の止めては止めるなだろと俺は完全に頭がぶっ飛んでいた。
そして俺の当初の企みは実行される。
ガコッとした音が聞こえたと思ったら、牧野が俺から離れていった。
チッと舌打ちするも往生際の悪い俺は牧野の太腿を吸い続け舌を這わせていた。
やがて完全に牧野が外に出た事で俺も出ようかと頭を下げると、ガリっと何らかの衝撃が頭に来る。
思わず前を向くとさらに飛び込んで来たのは牧野の脚。
「おわっ。ちょっ、何するんだ牧野。止めろ!」
「止める訳ないでしょ。あんただって私が止めてって言っても止めてくれなかったじゃない。」
狭い通気口に脚を入れるから牧野の蹴りはクリーンヒットする事はねぇが、当たればそれなりに痛ぇ。
自分の事を棚に上げた俺は怒りのままに通気口から這い出た。
「てめえ...それが愛する夫に対する態度か!この俺様に蹴り食らわすのはお前くらいなもんだぞ。」
「まだ夫じゃないっつーの!ていうか、夫だからってやっていい事と悪い事があるわよ。結婚したらあんたのその性根叩き直してやる!」
「ああ?性根だあ?俺のどこに不満があるんだよ。」
「そのどこかしこでも発情するところよ!必死で脱出しようとしてるのに何お気楽に発情してんのよ。あの3人が心配じゃないの?」
「あの3人って、俺らの事?」
「そうよ!って、え?」


挟まれた声に牧野が振り向き、俺も視線を合わせる。そこにいたのはあいつらだった。
「花沢類!西門さんに、美作さんまで!えっ?3人とも無事だったの?」
「無事?何だそりゃ。ていうかなんでお前らそんなとこから出てくるんだよ。」
「何でって閉じ込められたから...えっ違うの?」
「確かに重いドアではあったけど施錠してないから開いたはずだよ。」
「開かなかったよねぇ?道明寺。」
「...開いてた?」
「道明寺?」
「そう開いてたよ。何、司まさか引戸をずっと開こうとしてなんかないよね。」
ぷくくと笑う類に殺気立つ。こいつ俺らがこっから出て来た事で察しが付いているはずなのにわざわざ口にしやがった。くそ!類ってのはこういう奴なんだよ。
「まぁ司には役得にはなったみたいだからそんな顔するな。つくしちゃんはそうじゃなかったかもしんねーけどよ。」
「つうか早くシャワー浴びろよ。2人とも埃まみれで気持ち悪くねぇのかよ。」
軽口叩く総二郎に、俺達の汚れた身体を本気で嫌がるあきら。
俺はようやくこいつらが何かを企んでいる事に気がついた。
牧野はというと総二郎の軽口に顔を歪ませたが、あきらの一言に自分の姿を確かめては腕をくんくんさせていやがる。
「うー...確かにすごい埃と汗まみれ。シャワー浴びたいや。えっと、どこに行けばいいのかな?」
「案内するよ。牧野こっち。」
類が必要の無い笑みで牧野の手を引いて行く。そんなんで分かりやすくポッとなる牧野に腹が立つがおそらくあいつがいてはこの2人も答えないだろう。
「...どういう事だ?」
俺の苛立った低い声にこいつらが怯むはずもなく。
「とりあえずお前もシャワーを浴びろ。」
「着替えを用意しているから、それ着たら分かると思うぜ。司君。」
しっしっと牧野とは違い俺を手で追い払うようにする2人を睨みながら、俺は使用人の後を付いて行った。


そして俺はようやく理解した。
濡れた髪をタオルで拭いながら出てくれば、そこに用意されていたのは真っ白いタキシード。
手の込んだ事しやがってと文句が口から出そうになるが、してやられた事がむず痒いのもあって、俺は仕方ねえと首を振った。
こうなりゃとことんあいつらに付き合ってやるか。
俺らが惚れた女を泣かせてやろうぜ。
そして飛びっきりの笑顔をお前らに見せてやる。
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