最終話Sojiro

🌸Romance 最終話 チーム総二郎③ asuhana






おかしい。
全くもっておかしい。

浮き名なら死ぬほど流したこの俺が……
手を出せずに日々悶々、いや、モンモンモンモンモンモンモンと過ごしている。

なにがおかしいって、そんな状態が案外と心地良いって事だ。

女に関しては手練手管の筈だったのに……全くもって情けねぇ。

二人の仲は、間違いなく季節と共に深まっている筈だ。

毎朝七時のモーニングコールから始まって、おやすみなさいコールで締め括る。

つくしちゃんの声で一日の活力をもらい、つくしちゃんの声で幸せな眠りにつく。
悶々は……する。だが、それ以上に満足すんだ。


あっ?
舐めたことあるだろうって?
んなこと、よく覚えてるな。

我ながらあんなこと良くできたなと感心してる。
まぁ、なんだ過去の俺、『やるな‼』って、ところだな。

愛が深まれば深まるほど、惚れれば惚れるほど……自分でもやんなるくれぇ、純愛ってやつになっていく。
そう、純愛だ! まぁ、なんだプラトニックラブってやつだ。


未だに、手繋ぐのにさえドキドキして
手汗は平気か?汗臭くはないかなんて気にしてんだからな。
しかもだ……
そんな自分を楽しんでいる。

おかしいよな?
全くもっておかしいよな。

だがな、もっとおかしいのが___そんな自分が大好きだって事だ。

自分が大好き? くくくっ お前、どんだけナルシストだよって言われそうだが、つくしちゃんが俺の側に居てくれる。そんだけで、不思議なほどにありのままの自分が好きになれる。

あぁ、つくしちゃんに俺は、惚れて、惚れて、惚れて、惚れ抜いている。この先、共に手を携えながら生きていきたい。いや、生きると決めた。

今日、俺は、給料三ヶ月分とやらの婚約指輪を胸に、最高のシチュエーションでプロポーズする。





おかしい
全くもっておかしい。

なにがおかしいかって_____総さんが、総さんが
あっ、今日は上手く言えた。
あぁ、ちがうそこじゃなくて____あぁん、ダメダメ


「つくし、さっきから何ごちゃごちゃ言ってんの?」
グラス片手に優紀が口にする


「また何かございましたの?今度はなんの悩みですの?前回は恥ずかしくて名前が呼べないでしたっけ?」

「あぁ、アレ言えるようになったの? いまだに、そ、そ、総さん?」

「そ、それは、ちゃんと言えるようになりました」

まぁ、3回に1回はね。って言うのは内緒だけど___

「おっ、進歩じゃん___。手繋ぐ時に手汗かいたらどうしようだっけ?アレはどうなったの?」

「そ、そ、そんなことよく覚えてるね」

「だって、ねぇ、今時、そんなことで__ですものね」

「まぁ、それがつくし?」

「うんうん。それがつくしよね」

「そう言われてみれば、それが先輩ですわね。で、あれからご進展は?」

ご進展と聞かれ_____戸惑えば

「うわっ、つくしもとうとう? そうよねぇーーいくらつくしが鉄壁でも、あんな色香を振りまかれちゃねぇー うんうん。わかる、わかる! うーん本当にわかる!とうとうつくしも女になったってことね。おめでとう!」

滋さんが一人でウンウン頷いている___って

「あぁ、もぉ、何もないの、何にも!」

ついつい、大きな声で叫んでた。

「「「エッ!! 」」」

三人が一斉に私の顔を見た_______


「キスはキスくらいはあるよね?」


力なく首をふれば

「「「えぇーーーーーーーーあり得ないっ」」」

三人同時に驚愕の表情を浮かべたあとに、あぁじゃないこうじゃないと話し出した。


何が原因?

突発性の機能不全
いやいや、実は男の方が好きとか?
えっ、じゃぁ、つくしは隠れ蓑
うわっ、ヒドいーー


勝手放題面白おかしく言い合ってから……

「こうなったらつくしから誘っちゃえっ!」

「そうと決まればですね」

「うんうん。そうと決まればよね」

いやいや、そうと決まればってナニ?

三人揃って、キラキラと瞳を輝かせながら____取っ替え引っ替えのファッションショーが始まった。


で、今日だ_____



なに、なに、今日の総さんの色香。
いつもにも増して色香ダダ漏れで、私の心臓をドキドキさせる。

あっちの人も、そこの人も総さんを見てる。
ダメ、私の!!もう見ないでって心の中で叫んだつもりが



ゲッ
ヤバい、可愛すぎる。は、は、反則だろう?
ってか、露出多くねぇか?
そのスカート、パンツ見えねぇか?
胸、開きすぎだろうが?

ほらっ、あっちの男もこっちの男もつくしちゃんを見てやがる。
見るな、俺んだーーーーー心の中で叫んだつもりが



「見ないで」
「見るな」

ふたり同時に叫んで、瞳と瞳が出逢った。
総二郎の頭の中からロマンチックなロケーションも、プロポーズの言葉も予定していたもん全部、全部が吹っ飛んで

「つくしちゃん、結婚してくれ」

真っ直ぐな思いだけを言葉にした。

つくしの瞳が大きく見開かれ、ウルウルと潤って______泣き出した。


「フゥエーン フゥエーン」

「ど、ど、どうした?嫌だったか?い、嫌じゃないよな?」

自信なさげに総二郎が聞けば

コクンコクンと頷きながら

「う、う、嬉しいぃよ」

嬉しいと言ってくれることが嬉しくて、愛おしくて、総二郎はつくしの肩をそっと抱きすくめて口づけ一つ落とした。

「そっ、そ、総さん___」


「ぷっ、総だろう? そっ、そ、総じゃないって」


頬を染めるつくしの横で、総二郎が幸せそうに笑ってる。



うんっ?この後二人がどうなったかって?

両家にも、森山の爺にも快く認められ、トントンっと結納も交わし……

えっ? そこじゃないって?
アハハッ
あの後も清く正しく健全な男女交際なるものを続行中だ。

変わったことはただ一つ。
デートの後は、おやすみなさいのキスが加わったこと。

あっ、もう一つ
そっ、そ、総さんじゃなくなって、ようやく総さんがスムーズに言えるようになったこと。


なにはともあれ、二人は幸せだ。
あとは、結婚式を待つばかり。
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