最終話Rui

🌷Romance 最終話 類 4話 team Rui

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類が戻って来てから数日・・・毎日のように甘い夜を過ごしている2人だった。
沢山の電話もメールもしてきたけれど、やっと直接その肌の温もりを感じられるのだから類は幸せで堪らない。
昨日もつくしを優しく愛したあと、いつものようにぐっすりと眠ってしまった。


朝の日差しがレースのカーテン越しに差し込んでくる。
キッチンからはつくしが作る朝食の匂いと包丁のリズミカルな音が聞こえてくる。
そんな幸せな空気の中で、類はうっすらと目を開けた。近づいてくる足音がパタパタと可愛らしく響いた。

「おはよう、類。もう朝だよ?起きて・・・遅刻しちゃうよ?」

つくしの優しい声が耳元で聞こえて、思わず手が伸びてしまう・・・そしてつくしを掴まえた。
類の手はつくしの首に回されて、ぐいっと引き寄せると、もうお互いの顔は目の前だ。

「おはよ・・・つくし、今日も可愛いね」
「やだ!もう、あたしは変わってなんかないよ?昨日と同じ・・・それより、ほら、起きて?」

「キスしてくれたら起きられるかも・・・」

そう言って類がつくしにキスしようと顔を寄せた、その時・・・!


ピンポーン♪ 玄関のチャイムとは違う軽快な音が部屋に響いた。

「なに・・・?この音」
「あっ!おじいちゃんだわ、はいはい、ちょっと待ってね~!」

両手を首に回していたはずなのに、するりとつくしはその手から抜け出してカメラ付きインターホンの前に行く。
そこに映っているのは紛れもなく森山であった。それは森山が越してきてから取り付けられた自宅介護用のインターホン。
こちらの映像も見えるらしく、つくしが画面を覗き込むとシワシワの顔がニコッと笑った。

「おはよう!おじいちゃん。どうかしたの?」
『おぉ、つくし、腹が空いてしまってのぉ・・・』

(クソじじぃ・・・っ!すごくいいところで邪魔したな・・・!)

あと少しだったのに・・・目覚めのキスが欠かせない類にとってこの出来事は大問題!
その上、つくしは森山の部屋に行ってくると言って部屋を出て行った。
ベッドに残された類は当然面白くない・・・だが、ここはぐっと堪えて1人で着替えを済ませ、キッチンに向かった。


綺麗に並べられた朝食が2人分。今日も作りたての卵焼きから湯気がたっていて味噌汁の匂いが食欲をそそる。
やっぱりつくしが戻ってきてから2人で食べようと、類はニコニコして待っていた。
ガチャっとドアが開いて、つくしが戻ってきたと思った類は慌ててキッチンの椅子から立ち上がった。

笑顔で迎えた玄関、そこで見たものは・・・車椅子に乗った森山と、それを押すつくしの姿。

「なんじゃ・・・お前さん、まだここにおったのか!早く仕事に行かんかい!」
「行きますよ。つくしとご飯食べたらですけど」

「つくしと食べるのはこの儂じゃよ!ほれ・・・邪魔じゃ!」

(このクソじじぃっ!・・・せっかく2人で食べようと思って待ってたのに・・・!)

しかし、ここで80過ぎのじい様を相手に嫉妬心を剥き出しにするのも大人げない。
それに何より、つくしが嬉しそうに曾祖父の面倒を見ているのだ。森山は愛する人が大切にしている身内・・・
類はそう思うことにして2人の後をついて行った。

そして2人分の朝食を前に3人が席に着いた。

「ごめんね。類は私のと半分こで卵焼き食べない?ね、そうしよ?」
「うん!もちろん・・・じゃあ、俺が半分にするね!」

類はわざと目の前の森山に見せつけるように卵焼きを半分にして、2人の間に皿を置いた。
新婚であれば当たり前のイチャチャした光景を目の前で見せられる森山は何故か不機嫌に・・・。

「つくし、やっぱり類くんは働き盛りの男だからしっかり食べてもらいなさい。そのつくしと半分こっていうのは儂としようじゃないか」
「いや、じい様、つくしの半分は俺でいいんだけど・・・」

「何を言うんじゃ!お前はさっさと食べて行けと言ってるだろう!」
「・・・そっちこそ自分の部屋に戻ればいいのに」

そんなときだけ耳の遠いフリをする森山に類の冷めた顔が向けられた。

「類・・・会社に遅れるから。ホントにごめんね?」

まぁ、これも仕方ないと森山が余所見しているときに、おでこにチュッとキスをして類は会社に出掛けた。


夕方、類は今度こそつくしと2人で夕食を!と急いで帰宅した。
部屋に着くまでの時間もウズウズしていて、エレベーターですら遅く感じる。扉が開いたら自然と早足になってしまうほど。
鍵で開けてもいいんだけど、つくしの出迎えを受けたい。そんな気分で玄関のインターホンを押した。

「はーい」と聞こえるのは愛妻、つくしの声だ。

そして玄関が開いた瞬間、目の前にいるのは・・・。

「なんと帰りの早い男じゃな・・・花沢という会社は暇なのかい?」
「なんでそこにいるの?じい様」

「晩ご飯じゃからの・・・ほっほっほ・・・」

(クソじじぃっ!絶対わざとだろう!マジでムカつく・・・!)

*

 玄関を上がり靴を脱ぐと、類は後ろ手に扉の鍵を閉めた。
 晩食が終わり、寝る時間の早い年寄りはやっとのことで自分の部屋へと帰っていった。その後ろ姿をしっかりと見送って、類は安堵の息を漏らす。
 もうこれ以上邪魔されたら堪らない。どれだけ、この時を待っていたか……もちろんつくしの身体だけが好きなわけじゃないし、どこが好きかと聞かれ料理がと答えたものの、好きなところなど挙げだしたらキリがない。
 それぐらいどっぷりと、やっとのことで手中に収めたつくしを愛している。好きで好きで堪らない相手に触れたくなるのは当然のことだろ?
「今日はもう邪魔は入らないよ……もしまたジジ……爺さんきたら、居留守使っちゃおう」
「もう……たまにエロ親父みたいなこと言うよね、そんな爽やかな外見してるのに」
「そういう俺のこと、好きでしょ?」
「言わせたいだけじゃない……」
「言ってよ……ね?」
「好き、です」
 いつまで経っても、この純情さが堪らない。籍を入れ身体を重ねた回数など数えたらキリがないのに、まだ付き合って間もない恋人のようにつくしは頬を染める。潤んだ瞳が類を見つめる。いつもの溌剌としたパッチリと開いた目じゃない。類だけが見ることを許される、男を誘う色香を発した瞳に吸い寄せられる。
 本当は風呂に入ってからと思っていたけれど、抑え切れそうにもない。
 類はつくしの細い腰を抱き寄せ手を回した。腰から尻へと華奢な身体に手を這わせながら、つくしのスカートを捲り、太ももを撫でる。
「んっ……る、い……ここじゃ」
「ごめん、我慢できない」
 唇を重ね甘い蜜を吸うと、苦しそうにつくしの眉が寄せられ、類の身体に縋りつくように体重がかけられた。
「ね、何回くらい、キス……したかな」
「そ、んなの……っ」
 ハクハクと苦しそうな息が、つくしの唇の隙間から漏れる。キスした回数なんて類だって数えきれないけれど、何度しても満たされることはない。それほどに渇望し、恋い焦がれる女性。
「俺の唇のカタチ……覚えた?」
 唾液で濡れた唇をなぞりながら言葉を紡ぐと、もう言葉は要らないというかのようにつくしの瞳が閉じられ、首に回された手が類の頭を引き寄せた。
 類は性急な手付きで、ショーツの上を撫でる。
「あっ……」
 ヌルリと湿った感触に類は口元を緩める。つくしもまた、待ってくれていたのだと思えば、喜びしかない。

「子作りは、まだ早いんじゃないかね」

 予想していなかった聞き覚えのある声に、類もつくしもビクリと身体を揺らす。
「まさか……」
 正体がわからないはずがない、しかしどこからと視線を走らせれば、キッチンから覗く窓の隙間に影が映る。もちろん、窓も閉めてあったはずだが……。
「お、じいちゃん……?」
 さっき帰ったはずじゃ……とつくしも呆然としたまま、声のする方へ視線を向けた。
「つくし、ちょっと待っててね」
 類はつくしをその場に残し、数センチ開いた窓の隙間に顔を寄せると、つくしには聞こえない程度の声で外にいる森山へと告げる。
「すぐに玄孫に会わせてあげますよ」
 ピシャリと窓を閉めキッチリと鍵をかける。しかし、数十秒もしないうちに、玄関の扉に鍵が差し込まれる音がした。え、まさかと類がつくしを見れば、ペロリと舌を出したつくしが言う。
「あ……何かあった時のためにって、合鍵渡してた」
 引っ越そう、今週にも……いや、もう明日にでも花沢のマンションにつくしを連れて行こう。グッと拳を握り締め、ギリギリと音が立つほどに奥歯を噛みしめる。
 扉を睨む類の決意は固い。

 玄関にいる森山からは見えないように、類の手にトンと温かい指先が触れる。
 意識を集中すれば、手のひらに〝ごめんね〟の文字。
 それだけで、重苦しく苛立っていた気持ちが霧散するのだから、結婚してもなお、盲目的に恋をしている自覚はある。類は同じようにトンと手を叩き、つくしの手のひらにハートマークを返した。

~fin~








それでは、正解発表です!
1話 空色&りおりお
2話 聖&星香
3話 桃伽奈&凪子
4話 plumeria&オダワラアキ
イラスト たろさ
はんこ作成 空色 

類つく好きの読者さまには簡単?
最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。
また、どこかでお会いできるのを楽しみにしております。
Team Rui一同
拍手ありがとうございます♪
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