1st お友達限定文章

真夏の一夜の夢 1

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こちらのお話は、1stでお友達登録をして頂いた方限定の文章となります。
加筆等はございませんので、ご了承下さい。
1stにて1,000hit御礼として書いた『離れない、離さない』の続きとなります。
(正確に言うと“続き”ではないのですが…これは最終話のあとがきにて…)





-side Tsukushi-

その日は朝から大忙しだった。
1年程前に他界した大公妃-類の母の喪が明け、久々に行われる舞踏会。
公国内外から集まる人々の接待に、城の者はあちこちかけずり廻っている。

類付きの従者であるつくしには、特に役目は言い使っていないが、準備以上に大事な『仕事』がある。
こういう時の類の行動パターンはお見通しだ。

面倒だ。
行きたくない。
かったるい。
眠い。

見た目の王子様然とした姿に反し、類は華やかな場所に出ることを好まない。
どうにかして行かなくても済むようにと駄々をこね、酷いときには何処かへ逃げてしまう。

流石に大公主催の舞踏会をボイコットはしないだろうが、出る代わりに街中へ行きたいとか、遠乗りに行きたいとか言い出すに決まっている。
それを宥めすかし、何とか許容できるものであれば、自分が供に付くことで類の希望を叶え、夜の舞踏会の出席をスムーズにさせなければならない。

それでなくても大公妃が亡くなり、大公の側室とその取り巻きがうるさくなってきている。
類自身は、大公の跡目には興味ないようだったが、側室の子である類の異母弟は、大公の器ではない。


「素直に出ると言ってくれればいいけど…無理だろうなぁ…」

ため息をひとつつき、類の部屋へと向かうつくしを呼び止める女性の声。


従者であるつくしをやっかむ者は多い。特に女性は。
類は、容姿端麗、頭脳明晰、おまけに大公の正室の嫡男。
公に大公跡取りと黙されているのは、紛れもなく類。

身分の高い者は、あからさまに時期大公妃の地位を、そうでない者でも、その寵愛を得ようとやっきになっている。
なのに、当の類の身近にいる女性と言えば、つくし一人。

身分を弁えろ。
男装なんかして、愛妾にでも修まるつもりか。
類のいない場所で、場合によっては居る場所ですらも、言われた陰口は数知れず。
つくしは内心、またか…と思いつつ振り返ると、声の主は予想していたものと違っていた。

「静様」
「どうしたの? つくしちゃん。難しい顔して」

尋ねる静に、つくしは慌てて頭を振ると、静に近付き一礼する。

「い…いえ、何でも。静様、お久しぶりです」
「ホント、久しぶりね。つくしちゃん、綺麗になったわね」

うふふ…と微笑む静の方が何倍も綺麗なのに、その静に綺麗と言われても、何とも複雑だ。

静は類の母方の従姉で公爵家令嬢。
つくしを悪く言う貴族の娘が多い中で、それをしない数少ない人物。
また、パーティで気難しくなる類が、唯一側にいて気分を害さない
-決して笑顔を向ける訳ではないのが、悩みの種だが-
人物であるため、常にパートナーを勤めている。

「丁度良かった。つくしちゃんにお願いしたいことがあるの。
ちょっと、来てくれないかしら?」
「え…あ、あの…」

つくしは返答に困る。

静なら、呼び出して何か良からぬことをすることはない、と判ってはいたが、自分は類の従者という立場がある。
ここで是、と即答は出来ない。
そんなつくしを見越して、静が口を開く。

「あ、類には了解を貰っているわ。つくしちゃんが良いって言うならって。
ね、お願い」

類に似た笑顔でねだられると、つくしには否とは言えない。

つくしが頷くと、静はにっこりと笑った。




see you next
tomorrow 22:00



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