1st お友達限定文章

真夏の一夜の夢 2

0
こちらのお話は、1stでお友達登録をして頂いた方限定の文章となります。
加筆等はございませんので、ご了承下さい。





-side Rui-

類の機嫌は悪かった。

その日は朝から城内が騒がしい。
父である大公が主催した舞踏会が行われるからだ。

-かったるいな…

ぼんやりと外を眺める。
気持ちがいいくらいの晴天。
類の中でむくむくと悪戯心が首をもたげる。

先日、遠乗りに出かけたから、今日は街へ行こう。
つくしがそれを見つけ、咎めるのは判っていたが、お小言を言いつつも、ついてくるのもまた判っている。
街にも市が立ち、夜には祭りもあると聞いた。
だから、何かプレゼントするつもりだった。

普段、高価な物は決して受け取らないつくしだが、街を散策したときに見つけたちょっとした物は、戸惑いつつも受け取ってくれる。
先日は、街の職人が作ったという手鏡。
その前には、街散策の時に使う路銀を入れる小銭入れ。

今回はどうしようか…?
あの黒髪に映える、銀細工の髪飾りなんかがいいかもな…

そんなことを考え、行動に移そうとした類に声をかけたのは、2つ上の従姉。
艶やかな従姉は、満面の笑みで類に、午後からつくしを貸して欲しいと頼む。
数々のパーティでは、類のパートナーとして余計な『虫』を排除してくれている。
その静たっての頼みを断れず、つくしが是、と言うなら…と許可してしまった。


静の頼みをつくしが断れないのは判りきっている。
案の定、何時もなら類の部屋に現れ
「陽の高いうちから、中でゴロゴロしてばかりではいけません。剣の稽古でもしましょう」
とお小言をいうつくしが、幾ら待っても現れない。
止めてくれる者がいないとなると、強引に街中に出る気も、途端に失せた。
結局、朝からの不機嫌が治らないまま、自室で本のページをめくっていた。



退屈な午後を過ごしていると、何やら扉の外が騒がしい。
類の返事も勝手に待たず、ドアが開かれる。
こんなことをするのは、類の知る限り3人しかいない。

「何しに来たの?」

本を読む顔も上げず、入ってきた人物に向かって言い放つ。

「ご挨拶だな。類」
「折角呼ばれて来てやったのに」
「…呼んだのは俺じゃない」

勝手知ったる顔で入ってきたのは、類の幼なじみの3人。

「お前、いい加減パーティ嫌い治した方がいいぞ」
「…イヤなものはイヤ」
「ったく、そんなんじゃ、これからが困るぜ」
「静の婚約、決まったんだろ?」

司の言葉に、顔を上げる。

「…情報早いね」
「まぁな。隣国の第2王子だって? 今夜発表するんだろ?」
「らしいね。閨閥結婚にしちゃ、まぁいい方じゃないの?」

隣国の王子の評判は上々、静とも面識があり、話があうと聞いていた。
王位継承権は2番目だが、政治的野心がないため、静も心穏やかに過ごせるだろう。
静に対し恋愛感情は無いが、憧憬に近い感情はある。
自らの大公後継者争いに巻き込まなくて済むなら、その方が良い。

「そういうお前だって、次には婚約発表だろうが」
「知らないけど…そうみたいだね」

正式発表こそしていないが、類自身にも婚約者がいた。
類の後継者としての地位を心配した母方の外戚が急遽用意する、次期大公妃として文句のない身分と後ろ盾を持つ人物。
一度二度顔を合わせたと思うが、その顔はおろか、名前すら覚えてはいない。
誰でも同じだった。
類の隣に立ったとき、類の気分を害さなければそれでいい、その程度のもの。


「そういえば、牧野は?」

類の不機嫌を察したあきらが話題を変える。

「…静が連れてった」
「何ィ! 俺のときは断ったくせに!」

司ががなり立てるのを、のらりくらりとかわす。


結局、類の機嫌は、終始悪いままだった。



see you next
tomorrow 22:00



拍手ありがとうございます♪
関連記事

Comments 0

There are no comments yet.

Leave a reply