思いつき企画

思いつき企画『指先』

2
本日はゲリラUPです。
緩く、ゆるーく。どうぞ…<(_ _)>





突然類が「海が見たい」と言い出した、冬のとある日。
誘われるまま、海へと向かう。

人気の無い、冬の海。
風は冷たいが、空は晴れ渡り波も穏やか。
おまけに人は殆どいないため、まるで貸し切りプライベート・ビーチのようだ。

「うーん。気持ちがいいねぇー」

最初は「ええー?海ー?」等と言っていたつくしも、目の前の風景と心地良さに、波打ち際まで駆け寄り大きく伸びをする。

「…あんまり波に近付き過ぎると、転ぶよ」
「しっ…失礼ねー。子供じゃないんだから…」

少し離れた場所から、波と無邪気に戯れるつくしに呼びかけると、ぷりぷりと怒り出した。
と、ざぱーんとよせる波。
慌ててそれを避けるのだが、足元が悪くそのまま砂の上にダイブしてしまう。

一瞬の間。
幸い海の方へ転んだ訳ではないので濡れはしなかったが、すっかり砂まみれになったつくしは、ぺたんとその場に座り込む。
ぷぷっと類が吹き出す。

「…ほら…言った側から…」

笑いつつも手を差しのべる。
なんともバツの悪いつくしだが、類の無邪気な顔には弱く、何も言い返せない。
顔を赤くしながらその手を取る。
と、いつもは冷たい筈の手が、温かく感じた。

「……冷たい……」

徐に類が呟く。
最初は類に熱でもあるのかと思ったが、どうやらそうではないらしい。
つくしがほっと息をつく。

「あ…海風に当たっていたからかな…?」

何でもないとばかりに立ち上がると手を離し、スカートについた砂をパラパラと払う。

よく考えてみれば、コートにマフラーをしている類に対し、つくしが身に付けているのはジャケットのみ。コートは勿論、マフラーの手袋もない。同じ潮風に当たっていても、冷え方が異なるのは当たり前だ。
類が首のマフラーを外し、つくしの首にかける。

「え…」
「あげる」
「あげる…って」
「冷たいから」
「でも…」

類は? と尋ねる前に「平気」と返し、再びつくしの手を取る。

「えっと…類?」
「満足したから、行こ」
「行く…? って何処に…」
「んー…。何処でもいいけど…
そろそろお腹空いたんじゃない?」
「…そんな欠食児童じゃありません」

プイと横を向く。

「じゃあ、暖かいもの。お茶が飲みたい。
牧野もでしょ?」
「…………」

伺うようにつくしの顔を覗き込む。
全くもってその通り。
海は気持ち良く、身体も心もリフレッシュ出来たが、やはり冬の海岸は寒い。
『暖かいカフェオレかミルクティが飲みたいなぁ…』と思っていたところ。
こくんと頷くと「じゃあ、行こ」と促す。つくしの手を取ったまま。

「あ…えっと…類…?」
「…なに…?」
「…手を…」

離して。
その言葉を遮るように、類が口を開く。

「牧野の手、ちっちゃい」
「ちっちゃい…って…」

ー私は標準なんだってば!

「ぷくぷくしてて、可愛い」
「ぷくぷく…」

ほんの少し繋いだ手を緩め、長い指先でつくしの手を撫でる。

ーぷくぷくで悪かったわねっ。
指短いし、クリームパンみたいだって言いたいんでしょ。

「…なに…?」
「えっ…?」
「 クリームパンって…」
「へっ…!?」

驚き類の方へ顔を向ける。

「あっ…ヤダ…。私、また口に出してた?」
「うん」

しれっと告げる類。

「あああーー。もう…」
「ほら、行こ」

いつまで経っても治らない自らの癖に、アタフタと騒ぎ出すのだが、これまたマイペースの類は全く気に留めず。くいくいとつくしの手を引く。

てぼてぼてぼ。
沿道に停めてある車までの短い距離を、手を繋いで歩く。
聞こえるのは寄せては返す波の音だけ。
冷たかったつくしの指先も、類の体温を奪って同じくらいになった頃、ぽつりと呟く。

「やっぱり類の指って、長いね」
「…そう…?」

自覚がないのか、興味はないのか、類の反応は薄い。

「でも、思ったよりゴツゴツしてる」
「…そりゃあ…男だし…」

若干、拗ねたような類の声。

「でも、指先は固いんだね」
「…一応…ヴァイオリニストだから…」

最早“一応”どころではないのだが、やはり自らの事には素っ気ない。

「…職人の指だよね…」
「そ?」
「私は好きだよ」
「………………」

ぴたり。
類の足が止まる。

「俺も好きだよ。ちっちゃくて、ぷくぷくした指が」
「………あ…ありがと………」


ぎゅう。
繋いだ手に、自然と力が籠もる。

冬の陽射しが、柔らかく二人を照らしていた。





-fin-



-------

えーっとナニコレ? ですよね(^^;)
1stの連載も誕生日記念も終わっていないのに、思いつきを書いてしまいました。
その理由はズバリ、これです!

Margaret.jpg

“書き下ろし”につられて買った花晴れ(のオマケ、花男37.5巻)とマーガレット。
実はこの年にして初めて買ったマーガレットです。ハイ…。

ですが肝心の内容は…何も言いますまい…(-_-;)
いつもお邪魔している二次読者チャット会のお仲間さんのうち、類スキーの皆様と泣きましたとも。
で、そこで口直し(?)に出たのが、花男アプリの漫画“ふたりの秘密”。
あれを読んでいて一言。

「つくしちゃん、寒そうだよね。類はコート着てマフラーしているのに」
「きっと類がマフラーをかけてあげるんだよ♡」
「うんうん。で、手を握って、暖めてあげるんだよね(^^)」


オトメ(??)達の妄想は止まりません…(^^;)
そこから派生したのが、類の指のこと。

器用だから、きっと指は長い。
けれど意外と骨っぽい。
そして弦を押さえるから、指先は硬いはず。

という、私の勝手な妄想から、このお話が出来上がりました。
ここでの類はヴァイオリニストという設定にしております。
Sさま! Nさま! Rさま! お約束通り(?)書きましたよー!!
でもこんなのしか出来ませんでした。
ごめんなさい~<(_ _)>

余談ですが、ワタクシの手は小さいです。
そしてクラリネットのせいで、小・中学校の頃、親指は変形していました。
クラリネットタコが出来て、指の太さが2倍くらいぶ。只でさえ太いのに…(><)
先日、ピーナッツタフィーのつかみ取りにチャレンジしたのですが、全然取れず…(-_-;)
「少ないですねー」とお店の人にオマケして貰いました♡
指が長い人は憧れです♪
あと、職人特有の指も好きです。歴史を感じますよね(^^)

もひとつおまけ
初マーガレットの付録は、名言カレンダーとのこと。
ですが私が読んだことのある漫画はこれだけ…。

calendar.jpg

リアルタイムで読んでいたものはありませんでした…(^^;)
花男以外は、文庫コミックスで読んだものですね。
メジャー少女漫画雑誌のマーガレットは、マイナーな私の系列ではないようです…。


拍手ありがとうございます♪
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2018/04/07 (Sat) 12:58 | EDIT | REPLY |   
星香

星香  

鍵コメ「uz」様

ご訪問&コメント、ありがとうございます♪
お返事が遅くなり、申し訳ございません。<(_ _)>

そうなんですよね。
書きおろしの出番の少なさ…
それでも「新作」というと買ってしまうのは、ファン心理というものでしょうか…?

お口直し(?)になっていれば幸いです(^^)
お付き合い、ありがとうございました。<(_ _)>

2018/04/09 (Mon) 19:22 | EDIT | REPLY |   

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