【2018 Anniversaire】

fleurs printanières スピンオフ⑦『memories』 -凪子-

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スピンオフ⑦『memories』




類様…私は今でも時々、懐かしく思い出すのです

あれはちょうど10年程前、まだ私が新人だった頃───



*


『尾形さん、あの子が…?』

『あぁ、花沢の坊っちゃんだとよ。何でも両親がフランス滞在とかで、一人でこの豪邸に住んでるんだとさ… 全く金持ちってのは、何考えてんだか』

『なっ!ここに一人で!?…ですかぁ…』

初めての任務で、金持ちの”子ども”の護衛…
それ以上深入りするなと上司にかたく言われたものの、壁に凭れ1人俯く孤独な少年がどうにも気になってしまい…

『…あのっ、こんにちはっ//!』

『…誰?』
『あっ!別に私は、怪しい者では無くてですねっ//』

『…怪しい人ってさ… 大抵みんな、そう言うんだよね…』
『…ははは///… ま、そうなんですけどねっ』

近づけばまるで天使のように美しい少年… しかし不自然なほど大人びて、どこか孤独を纏ったような、複雑な表情を浮かべながら…

『…でもあんた… 絶対悪人にはなれなそう…』

『おお!そうですか//!どうも有難う//!』
『……別に…//』

以前からボディーガードにしては人懐っこ過ぎる顔だと上からも突っ込まれ、任務中はあまり笑うなと言われていたけれど…
あの時はその少年に、どうしても笑って欲しくて…

『あの…良かったら君、キャッチボールとか、やりませんか?』

『…は… おじさんと…?』
『おじっ!…コホン//!こう見えてもまだ、お兄さんの年齢なんだけどなぁ…//』

…笑え、笑ってくれっ…

『…クスッ、いーよ… じゃ、キャッチボール…おにーさんとしてあげる…//』
『おぉ//!そうだ…お兄さんの名前は甲斐山 亨と言います!宜しくっ//』

『…クスッ、変なおにーさん//…あのさ、長いから… カイでもいい//?』

『…ええ! 勿論っ///!!』




*


今思えば、私には運命的な出会いでした…

勿論類様はもうお忘れの事でしょうね…
当時から12才にしては、だいぶ大人びていらっしゃったのに…
時折少しだけ、寂しい子供の顔をされていて…
聞けばあれからご両親が海外に滞在され、ずっと日本でひとりきり…
傍目にはわからない悲しみを抱えた類様にも、いつかきっと、寂しさを全て埋められる日がくるようにと…

甲斐山も陰ながら、切に願っておりました

でも… そんな類様も今日、やっと───



「…山っ!ちょっと、聞いてんのっ!?」
「はっ!あっ、すみませんっ//!お呼びでしたか!」

あぁ…類様…
あの頃から見れば、もうこんなに大きく、逞しくなられて…//

「あのさ… ボディーガードの癖に、ちょっと気ぃ抜き過ぎなんじゃない?…ま、いいけどさ」

うっ… お、仰る通りで…
相変わらず手厳しいお言葉…
しかし本日は甲斐山、非番ということではありませんでしたかっ…//!?

…今ではすっかり年齢が追いつかれてこの貫禄…
あの頃の私には、皆目検討もつきませんでしたよっ… ハァ…

「いいから行くよ!」
「…はっ? えっ、何処へでございますか?」

「…写真」
「…写真…? あっ!畏まりました//!只今お撮り致しますね!」

やれやれ…それにしても…
お口の悪さはどうであれ… やはり本日の類様は、普段にも増して一層凛々しくていらっしゃいます…

本日はごく内々での、お仲間へのご婚約披露パーティー…
ですがこれ程までに白のスーツを軽やかに着こなされるお方は、やはり類様しかおられませんねぇ…// 男の私でも惚れ惚れするお姿でらっしゃいます…

流石はご婚約者のつくし様の、お見立てならではでございますねぇ…
うーん♪ この分では、類様が見立てたというつくし様も、今日はさぞかし…///

「甲斐山っ!早くしなっ!!」
「は!…って、類様、カメラはその、一体どちらに…?」

…おや、どうしたことでしょう…
どう見ても、ここにはプロのカメラマンと、本格的な撮影機材が既に…

「ハァ…誰が今お前に写真撮ってって頼むのっ!? 甲斐山はこっち!」
「はっ! って、…ええっ///!!」

お、お待ち下さい類様っ!?
…こちらはどうみても… 類様とつくし様を囲んだ、ご友人との並びではっ…///!?

「もうっ類も…そんな言い方じゃ通じないでしょ? あの… 突然すみません// えっと、ボディーガードの甲斐山さんですよね?」

「ハッ///!つくし様っ///!!」

なっ、なんと畏れ多い事でしょう///!! 晴れて類様のご婚約者になられた”つくし様”が今っ//!!…この甲斐山めにっ、じかにお言葉をっ…///

「実はこれから集合写真をみんなで撮るんですけど… 甲斐山さんも、一緒に入りませんか//?」

「…はっ!? あの… 私が… ですか…?」

これは… 何のご冗談でしょうか…
そう思い、急ぎ類様を見ましたが…
…ちょっと~っ///!!
呼びつけておいてっ、また無視ですかっ//!?


「すみません、今日はお仕事でもないのに…// 実はですね類が//…こうして私達二人無事が婚約できたのも、甲斐山さんのお陰もある、って…//」

「えっ… 類様が… …で、ございますか…?」

「はい! それに…なんだかずっと昔? 寂しい時分にキャッチボールして遊んでもらった、信頼のおける優しい人だからって、そう聞きましたけど…」

えっ……

…類様が…まさかアレを… 覚えておられたっ…//!?

しかもそんな…勿体無いお言葉を…///!!


しかしよくよく見れば、なんと類様は照れたように、そっぽを向いてらっしゃいます…

そして大変、お幸せそうで…っ…


「る、類さまぁ~~っっ///!!!」

「ちょっ!何すんのさ気持ち悪いっ!しかもそこっ、つくしの席だしっ!!!」
「ハッ///!! これはっ…!大変失礼致しましたっ///!!」
しまった!私としたことがっ…///
感激のあまりつくし様の目の前で類様にがっつり抱きつくとは、男甲斐山、なんたる失態っ//!!

「あの、良かったら甲斐山さん、こちらにいらっしゃいませんか? 隣、空いてますけど…」

「…へっ…?」
これは…なんという涼やかな可愛らしいお声でしょう…// ですがこのお声… 何処かで聞き覚えが…

「ってっ////、ゆっ///! 優紀さんっ////!?!?」

「フフッ、相変わらず甲斐山さんって… とっても面白いんですね// 後でたくさん楽しいお話、聞かせて下さいね//?」

…ハッ////!?
優紀さんっ///…今、なんとっっ///!!

これは夢でございましょうか…//

優紀さんが私に、まるで天使のような微笑みを向けて//…更にはその白魚のようなお手てでっ///…て、手招きなどっ////!!!!


*


あ「…ククッ!年上の癖に優紀ちゃんにすげぇ真っ赤になってるな!お前の馴染みのボディーガードは」

類「まぁね… それが良いとこなんだけどさ… でも長い事気にかけてる癖になかなか動かなくて…
せめて段取りつけてやったんだから、あとは自分でどーにかして欲しいよね…」

総「…おいおい、お前がそれ言うか?」

司「だな? まぁ、またもたもたしてるならそのうち俺様がパーティーにでも…」

類「司っ!!!」

ニヤリと笑った3人を類が軽く睨み付けると、そこへ揃いの白いミニワンピを着たつくしが慌てて駆けてくる。

つ「ちょっ!一体どうしたのよ!?類?」

ニヤニヤと意味ありげな視線を向ける親友達を一切無視して、ビー玉の瞳はつくしにだけ優しく微笑む。

「…知りたい?」
「えっと///…喧嘩…じゃ、無いみたいだけど…// 何//?」

頬を染め、キラキラとこちらを見つめる黒曜石のような輝きは、それだけで、類が好きだと告げているようで…
類は愛しさに目を細めて答えた。


「ん… それはね…」
「うん//?」



「…俺がつくしを、ずーっと前から好きだった、って話♪」

「…ええっ///!?」

耳許で囁かれた類の甘い呟きに、ボボボッとつくしの顔が染まった瞬間、、、

『それでは皆様、準備は宜しいですね~!?
…3、2、1、ハイッ!!』

カシャッ!!


*


おぉ…// なんと素晴らしいお写真なのでしょう…//


この日…
私にまた、1枚の宝物が増えました…//

そして男、甲斐山… これからも我が主、類様と…
そして心お優しいつくし様に、一生お仕えして参りますっ…///!!


「カイ…… 煩い」
「ハッ!畏まりましたっ!!」





Rendez-vous demain...


↓おまけつきです♪
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Comments 6

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さとぴょん  

凪子様
またまたスピンオフありがとうございました♡
類くんは、小さなころから甲斐山の優しさに感謝してたんですね。
素直に言葉にできず
照れてそっぽを向いてる類くんが可愛かったです♡
嬉しさのあまり類くんに抱き付く甲斐山(笑)
気持ち悪いって言葉さえ、心地よく聞こえてしまいそうですね。
そして、ここでも優紀ちゃんが♡
類くんも応援してるはず・・・
甲斐山、がんばれー(笑)
お話ありがとうございました♡

2018/03/31 (Sat) 22:49 | EDIT | REPLY |   

凪子♪  

さとぴょん様❤

ありがとうございます(*´ω`*)
実はスピンオフ、いつもなのですが、特になんの打ち合わせもなく、『えー、こんなん出来ましたけど?』的に、皆様思い思いに自由にアップしているのですが🎵
本編でもずっと続いている甲斐山と類くんの関係性。
なぜあれだけへまをするのに、なぜ類はずっと甲斐山をチェンジしないのか… そこら辺の根底に、実はこの二人なりの強い信頼と絆があれば良いな🎵なんて思いまして、このスピンオフが出来ました(^^;
一見頼り無さそうに見えるけど、実は相当の手練れですしね✨人柄も含め、類くんは彼を信頼しております♪
それ、素直に表さないところも、また萌えますけど…(/▽\)♪笑
気に入って頂けて良かったです❤
お部屋は今週いっぱいでクローズしちゃいますが、是非!まだまだ楽しんで下さいねっ♪

2018/04/02 (Mon) 10:54 | EDIT | REPLY |   

ノエノエ  

凪子さま
またまたおはようございます。
類くんと甲斐山さんの心温まる出会い……類くんが文句を言いつつも甲斐山さんを一番に信頼して感謝していることが伝わってきます(*^_^*)類くんはキャッチボールなんてきっとお父さんとしていないでしょうし、淋しくても口に出来ずにいたのに、類くん自ら「カイ」と呼ぶ位あっさり類くんの心に入り込んだ甲斐山さんは、つくしちゃんと通じるところがあるのかもしれませんね。
婚約披露パーティーで甲斐山さんと一緒に写真を撮ろうと言えず、「カイはこっち!」とだけ言う類くんのツンデレぶりがたまりませんでした(≧∇≦)♡そして益々甲斐山さんのファンになりました!
甲斐山さんは本当に優しい人!優紀ちゃんとお似合いですね!上手くいきます様に。
素敵なスピンオフを有難うございました(*^^*)

2018/04/07 (Sat) 10:05 | EDIT | REPLY |   

ノエノエ  

空色さま
おはようございます。
コメントが遅くなり申し訳ありませんでした。
甲斐山さん、本当に職務に忠実!つくしちゃんの悲鳴を聞いて直ぐに類くんに報告!そしてつくしちゃんと話しているうちに類くんへの続報を忘れる(笑)「事件発生、侵入者あり」なんて連絡があった上に連絡が取れなくなったら慌てますよね💦甲斐山さんはいい人なのに、この今一歩ズレた行動をすることで類くんに睨まれ凍死寸前(笑)それでも、類くんの言いつけを守ってコウモリのお世話をする、本当にいい人ですね~~~~~~~!
コウモリの名前は「類」でしたよね?家でも仕事でも一日中「類」のお世話をする甲斐山さん(笑)頑張れ!
楽しいスピンオフを有難うございました(*^^*)

2018/04/07 (Sat) 10:15 | EDIT | REPLY |   

凪子♪  

ノエ様❤

うふ❤こちらにもありがとうございます(*´ω`*)
本編ではいろいろとずれまくっていたカイ君w
でも、大事なつくしちゃんの護衛を任せているのなら、きっと類君にもカイ山に対する隠された"信頼"があるのでは…?
と、そこから生まれたお話です(*´ω`*)
そして、流石ノエさん🎵
幼い類くんの押さえた寂しさに初対面から寄り添い、笑いかけるカイ山は、確かにつくし寄りなのかもしれませんね!(*´ω`*)
でも、ツンデレな類くんは絶対に認めたがらないでしょうけど(/▽\)♪笑
お話楽しんで頂けて嬉しいです!
最近忙しくて、なかなかお話を書けてないんですけど(^^;またたくさんの素敵な類くんに会える日まで✨
チーム・ルイルイのお話を、どうぞお楽しみに❤笑
どうもありがとうございました!

2018/04/07 (Sat) 12:30 | EDIT | REPLY |   

空色  

ありがとうございます(*^.^*)

ノエノエさま
ありがとうございます(*´∀`)♪
そうなんですっ!つくしの護衛してますからねぇ~
(*^.^*)
叫び声を聞いたら駆けつけます、キリッ!
でも、少し抜けてる所もあるので報告が遅れちゃいました。
類にしてみれば、大変な事件っ!!
まあ、侵入者はコウモリでしたが……。
カイくんが連れて帰った(押し付けられた、とも言う)
コウモリとの生活や如何にっ!!
と、言った処でしょうか?
(我が家のコウモリ 類は、数日後、夜空に帰って行きましたました)
最後まで、お付き合いありがとうございました。
また何時か、お会い出来るのを楽しみにしております。
その時は、また宜しくお願い致しますm(__)m
ありがとうございました🍀

2018/04/07 (Sat) 16:24 | EDIT | REPLY |   

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